生後すぐの支援で難聴児の聴く力・話す力を伸ばす! 

生後すぐの支援で難聴児の聴く力・話す力を伸ばす! 

難聴がある子どもを早期に発見・支援

約1000人に1人、生まれつき重い難聴がある子どもがいます。多くの産院が、赤ちゃんが生まれてすぐの入院中に、新生児聴覚スクリーニングという検査を行っています。難聴の疑いがあるとわかったら、生後1カ月位で耳鼻科を受診して精密検査を行い、3カ月位で確定診断をして、6カ月位までに補聴器の装用や聴こえと言葉の訓練といった支援を開始するのが望ましいからです。それが近年ではもっと早く、生後2カ月で確定診断をして、3カ月までにトレーニングを始める方向にシフトしてきています。より早期に難聴を発見し、必要な補聴を行い、支援を開始するほうが、子どもの聴こえや言葉の発達を伸ばしていけるからです。

聴力を可能な限り正確に予測する

学校健康などでは、ヘッドホンをつけて音が聞こえたらボタンを押すという方法で聴力の検査を行いますが、乳幼児には難しい方法です。聴力検査が難しい乳幼児の聴力測定は、音を聴いたときに出現する脳波を解析することで行われますが、検査結果とその子が持っている真の聴力がどの程度合致しているかは、その時点ではわかりません。そこで、多くの乳幼児を追跡調査し、真の聴力が分かった時点で過去の検査結果と比較し、周波数や検査機器ごとに誤差がどの程度あるのかを明らかにする研究があります。この研究結果は難聴の診断や補聴器の調整に役立てられています。

早期の介入で将来の選択肢を増やす

難聴の確定診断を受けて補聴器の装用や聴こえと言葉の訓練を開始するのは、生後3~6カ月頃です。この時期は、家族にとって子育てをするだけでも大変な時期となります。言語聴覚士は難聴がある子どもだけでなく保護者も支援しながら、子どもの進むべき道をご家族と相談して決めていきます。早期の対応によって、子どもの聴こえと言葉の発達を最大限に伸ばすことで、地域の学校に通えるなど、将来の選択肢を増やすこともできます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 言語聴覚学科 講師 千葉 寛之 先生

新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 言語聴覚学科 講師 千葉 寛之 先生

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言語聴覚学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校3年生になる春休みに「君の手がささやいている」というドラマを見たのがきっかけで、言語聴覚士を志しました。難聴の主人公が恋人に気持ちを伝えられないでいる姿を見て、「聴く・話す」は、人がコミュニケーションを取るために重要な力、人間らしさの根幹を担う力なのだと痛感したのです。言語聴覚士は脳血管疾患などのリハビリに携わることが多く、生まれつきの難聴を専門とする人は全体の1割もいませんが、一人の患者にずっと関わって成長を見守ることのできる、とてもやりがいのある領域です。

先生への質問

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6学部15学科すべての学科で国家資格をはじめとした専門資格の取得に対応したカリキュラムを配置しています。また、看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉の総合大学である利点を生かし、他学科の学生がチームを形成して学ぶ「連携教育」を導入し、関連職種への理解やコミュニケーション技法を身につけることで実践的な「チーム医療」を学びます。さらに、【スポーツ×リハビリ】【看護×福祉】など、学科コラボによる学びで、幅広い知識を修得します。