アスリートのパフォーマンスを高める「スポーツ理学療法学」

アスリートのパフォーマンスを高める「スポーツ理学療法学」

けがをする理由があった

あなたは運動中にけがをした経験はありませんか。状況は偶発的なもので、けがは仕方ない、そう考えてはいないでしょうか。しかし、けがは決して偶然起きるものばかりではないのです。6割から7割は、けがをした本人が持っている身体の特徴が原因と考えられます。原因となる特徴は1つとはかぎらず、複数の要素が相互に関係していますが、特定し改善できれば、再発防止につながります。

アスレティックリハビリテーションがめざすゴール

多くの人にとって、リハビリテーションのゴールは日常生活ができることですが、アスリートの場合は、走ったり飛んだりといった元の競技活動に復帰することが求められます。また、再発防止までを視野に入れてゴールをめざします。スポーツ理学療法学は、より考える領域の広い学問だと言えるでしょう。病気において症状の消失だけでなく再発防止も含めた治療が一環として行われているように、けがにおいても原因の探求と再発防止は重要です。

3次元動作解析などのデータ分析でフィードバック

原因の探求は簡単ではありません。けがの原因は競技によってもプレーヤーによってもさまざまです。例えば、スピードスケートの選手は、氷の上での競技に適応できるよう下半身を鍛えているのが特徴です。その一人ひとりを丁寧に見ていくと、身体にはさまざまな特徴があり、左右で足の裏の形が異なっていたりします。このようにその人が持っている体の特徴を理解することは、けがの再発防止だけでなくパフォーマンスを上げることにもつながります。
サッカー選手であれば、ボールを蹴るとき、方向転換をするときの体の動かし方を観察したり、3次元動作解析でジャンプの特徴を分析したり、どこの関節や筋肉に弱点があるのかを身体計測などによって探っていきます。また、種目によってはアスリートの低年齢化が進んでいます。スポーツに必要な身体作りには、競技力の向上と、成長にともなう体の変化とのバランスを考慮する必要があります。ここでもスポーツ理学療法学が注目されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

甲南女子大学 看護リハビリテーション学部 理学療法学科 教授 伊藤 浩充 先生

甲南女子大学 看護リハビリテーション学部 理学療法学科 教授 伊藤 浩充 先生

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理学療法学、リハビリテーション学

メッセージ

理系文系にかかわらず、文章を正しく読み解く力が必要ですので、語学の力は大切です。理学療法士は人体の構造や機能に関する専門知識を身につけるとともに、検査結果などのデータを読み解く力も求められます。
中高のクラブ活動でけがをしたとか、家族の具合が悪くなったことをきっかけに理学療法に興味を持つ人が多いのですが、理学療法を受ける人とのコミュニケーションによってその人の心を読み取りながら、優しさだけでなく知識を探究する姿勢が必須です。学ぶことを存分に楽しみましょう。

先生への質問

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本学園は、2020年に創立100周年を迎え、長い歴史と伝統を受け継ぎながら、建学の精神「まことの人間をつくる」に基づき、誠実で品位のある女性の育成に努めてまいりました。管理栄養・看護・理学療法・言語・文化・子ども・心理などの専門領域の学習フィールドを備え、6学部12学科と幅広い分野において、社会で発揮できる能力や専門知識が身につく豊かな学びの環境を整えています。神戸の街と空、海を望むキャンパスには、あなたを大きく成長させる学びや出会いがあふれています。