医学的アプローチを使い、リハビリテーションを支援しよう
刺激療法でリハビリ効果アップ
理学療法士や作業療法士と違い、医学的アプローチを用いて身体機能の回復や改善を図るのが「リハビリテーション科医」です。具体的には筋肉を軟らかくする注射や電気刺激を活用し、リハビリテーションの効果を高めます。例えば脳卒中の患者は、後遺症としてものを飲み込む際に嚥下(えんげ)障害が残ることがあります。そこで大脳皮質に磁気刺激を与えると、嚥下反射のスピードを改善することができるのです。ほかにも、喉の奥にある筋肉を直接刺激する方法も効果が見込まれています。
食事と筋トレで嚥下機能改善
一般的に嚥下障害は高齢者に多く、老化による飲み込む筋力の低下からも発生します。その場合、餅のような付着性の高い食品は咽頭に残留しやすくなるため、食品の付着性や凝集性、硬度、粘度を数値化して把握し、適切な食材を検討します。一方、寝た状態から首だけ持ち上げる、口を大きく開けるといったトレーニングも並行し、嚥下に必要な顎の下の筋肉を鍛えます。体の機能は使わなければ失われていきますから、若いうちから固いものを食べ、顎の筋力をつけておくことが望ましいでしょう。
VRを活用して楽しく運動を
体は動かせば動かすほど、機能は改善していきます。しかし、場合によっては痛みをともない、運動を続けるのは精神的につらくなることが往々にしてあります。そこでVR(バーチャルリアリティ)で気持ちが和らぐような映像を見ながら運動するなど、楽しくリハビリテーションをするための仕組みが考えられています。専用のゴーグルをつけるだけですから、ICUに入院中の患者や訪問リハビリテーションの現場でも使うことができます。
リハビリテーション医学の分野はまだ新しく、治療方針や制度が不十分なところがあります。そこで、ビッグデータを活用し早期リハビリテーションの効果検証や医療政策の立案、診療ガイドラインの作成が行われるなど、制度の整備も進められています。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
三重大学 医学部 医学科 教授 百崎 良 先生
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リハビリテーション医学、臨床栄養学先生が目指すSDGs
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