買い物に安心を~消費者や中小企業を守る独占禁止法~
公正かつ自由な競争を守る法
安くて品質のいい商品が売られている背景には法律があります。例えば独占禁止法は企業が守るべき法のひとつで、「公正かつ自由な競争」を促進して消費者や中小企業を守ることが目的です。事業者は自由に商品の値段を決める権利を持っていますが、複数の企業で取り決めをして価格を一定にする「価格カルテル」を結ぶと、価格競争が発生しなくなります。そこで独占禁止法では価格カルテルや公共事業の入札談合を禁止し、公正かつ自由な競争を実現させています。
企業と消費者が対等になるために
独占禁止法は需要と供給のバランスによって価格を決定するという「市場メカニズム」を正常に機能させるためにも必要です。企業同士が競争すると商品は高品質で低価格になるため、消費者にも企業にもメリットがあります。しかし弱肉強食による自由な競争だけでは、立場の強い大企業だけがメリットを独占しかねません。そこで必要になるのが取引の対等性を保つための法律です。企業と消費者の取引は対等に見えますが、実際は有している資産や情報などに大きな差があり、消費者は弱い立場に置かれてしまいます。国は法律を定めることで弱者に対して人・お金・情報を支援し、疑似的に強者と対等になる力を与えています。
弱い立場の人を守る独占禁止法
独占禁止法ではカルテルなどで価格の統一をしてはいけないと定めていますが、書籍やCDなどの例外もあります。これらは適用除外と呼ばれ、知的財産権を守るために価格帯が決まっています。価格競争により作品が低価格化してしまうと作家やアーティストが十分な収入を得られなくなってしまうからです。ほかにも独占禁止法では力の強い企業が立場の弱い中小企業に対して、商品を店舗に置く代わりに協賛金を求めるといった優越的地位の濫用も規制しています。また、広告の虚偽表示を禁止するなど消費者の利益を守るための項目もあり、誰もが公正かつ自由な取引を享受できるよう法が作られていることがわかります。
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東北文化学園大学 経営法学部 経営法学科 准教授 秋山 まゆみ 先生
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