アニメーターから塾講師まで、大勢のフリーランスを救うには?

意外と多いフリーランスの仕事
社会にはさまざまな働き方があります。会社などに雇用されるのではなく、業務を委託されて個人事業者として働くスタイルを「フリーランス」と呼びます。例を挙げると、芸能タレント、スポーツ選手、ミュージシャン、アニメやゲームのクリエイター、宅配ドライバーやフード・デリバリーもそうですし、大学の教員も出版社から依頼されて原稿を書いたりする場合はフリーランス扱いになります。個別指導の塾講師や家庭教師も実はフリーランスが多く、近年では、会社員をしながら副業や兼業でフリーランスの収入を得ている人も増えています。
労働法で守られていないフリーランス
このフリーランスのトラブル相談窓口に、年間1万件もの相談が寄せられています。フリーランスは労働者ではないため、労働法による保護が受けられないのが要因の1つです。仕事に時間がかかっても残業手当は出ませんし、病気で休む場合は休業手当もありません。
例として誰もが利用する大手ネット通販サービスの配達ドライバーを見てみましょう。雇用関係にある労働者のような働き方をしていますが、配達する荷物の量が増えても報酬は増えず、登録したアカウントが突然凍結されて仕事ができなくなったケースもあります。配達中に事故を起した時も、代車が来て「配達を続けてください」と指示されるだけで、けがの治療費や車の修理代もドライバーの自腹です。
公正な取引を促す
そこでフリーランスを救う法律として注目されるのが、公正取引委員会が運用する独占禁止法などの「経済法」です。この法律では、商取引における「優越的地位の濫用(らんよう)」を禁止しています。つまり仕事を発注する側がその優位な立場を利用して、フリーランスに対して不公正な条件の取引を押し付けると違法となります。これを根拠に、フリーランスの登録先となる労働プラットフォームに働きかけて、取引契約条件が改善されれば、多くのフリーランスを一気に救済することができるでしょう。また現在は、フリーランス法という法律もできています。
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弘前大学人文社会科学部 公共政策講座 教授長谷河 亜希子 先生
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