講義No.15034 法学

アニメーターから塾講師まで、大勢のフリーランスを救うには?

アニメーターから塾講師まで、大勢のフリーランスを救うには?

意外と多いフリーランスの仕事

社会にはさまざまな働き方があります。会社などに雇用されるのではなく、業務を委託されて個人事業者として働くスタイルを「フリーランス」と呼びます。例を挙げると、芸能タレント、スポーツ選手、ミュージシャン、アニメやゲームのクリエイター、宅配ドライバーやフード・デリバリーもそうですし、大学の教員も出版社から依頼されて原稿を書いたりする場合はフリーランス扱いになります。個別指導の塾講師や家庭教師も実はフリーランスが多く、近年では、会社員をしながら副業や兼業でフリーランスの収入を得ている人も増えています。

労働法で守られていないフリーランス

このフリーランスのトラブル相談窓口に、年間1万件もの相談が寄せられています。フリーランスは労働者ではないため、労働法による保護が受けられないのが要因の1つです。仕事に時間がかかっても残業手当は出ませんし、病気で休む場合は休業手当もありません。
例として誰もが利用する大手ネット通販サービスの配達ドライバーを見てみましょう。雇用関係にある労働者のような働き方をしていますが、配達する荷物の量が増えても報酬は増えず、登録したアカウントが突然凍結されて仕事ができなくなったケースもあります。配達中に事故を起した時も、代車が来て「配達を続けてください」と指示されるだけで、けがの治療費や車の修理代もドライバーの自腹です。

公正な取引を促す

そこでフリーランスを救う法律として注目されるのが、公正取引委員会が運用する独占禁止法などの「経済法」です。この法律では、商取引における「優越的地位の濫用(らんよう)」を禁止しています。つまり仕事を発注する側がその優位な立場を利用して、フリーランスに対して不公正な条件の取引を押し付けると違法となります。これを根拠に、フリーランスの登録先となる労働プラットフォームに働きかけて、取引契約条件が改善されれば、多くのフリーランスを一気に救済することができるでしょう。また現在は、フリーランス法という法律もできています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

弘前大学 人文社会科学部 公共政策講座 教授 長谷河 亜希子 先生

弘前大学人文社会科学部 公共政策講座 教授長谷河 亜希子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

社会法学

先生が目指すSDGs

メッセージ

本学は、東北地区では2番目の規模の国立総合大学で、多彩な分野を少人数教育で学べる環境が整っています。1年次からさまざまな課題をこなしながら、学生たちが大きく成長していく姿を見てきました。もしあなたが大学に入学したら、自分の可能性を信じて何にでもチャレンジしてください。先生に何かを勧められたら「ものは試し」「就活のネタになるかも」と思って、体験する機会を逃さないでください。そして、サークル等にも入って、利害なくつきあえる、同じ趣味を持つ一生の友人を見つけてください。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

弘前大学に関心を持ったあなたは

弘前大学は、人文社会科学部、教育学部、医学部、理工学部および農学生命科学部の5学部からなる総合大学で、すべての学問の基礎的領域をカバーしています。
この総合大学という特性を生かして、本学では教養教育と専門基礎教育を重視した教育を行い、これからの社会に対応できる人材を育成することを目的としています。
本学の学生は、歴史と伝統のある文化の香り高い弘前市で学びながら、地域の自治体や企業などと連携し、さまざまな活動に積極的に参加しています。