「量子ドット」が生み出す高速、省エネ、次世代技術
「量子ドット」を活用すると……
“波”の性質を持つ電子を3次元のすべての方向から閉じ込めた「量子ドット」は、次世代のテクノロジーにつながるものとして注目を集めています。現在、均質な量子ドットをつくり、それを高密度で配置配列する技術が研究されていますが、これが実現すれば、さまざまな技術や機器に活用することができるのです。
例えば、半導体レーザーに量子ドットを組み込むと、以前より消費電力を非常に少なくすることができます。従来の半導体レーザーに比べると、量子ドット半導体レーザーは1桁少ない電流量でじゅうぶんなのです。
温度の影響を受けにくい「量子ドット」
量子ドットは、温度に対して非常に安定性が高いことも、大きなメリットです。現在の半導体は温度の影響を受けやすいため、温度コントロールを行う装置や仕組みが必要です。DVDやCDのプレイヤーは、夏と冬の温度差の調整を外の回路で行わざるを得ません。インターネットの光通信用の半導体レーザーは、温度変化によって光の波長が変化するために、温度コントロールのシステムを搭載しなければならず、それが大掛かりなために機器そのものがかさばってしまうのです。温度変化に強い量子ドットを使えば、そのようなシステムは必要なくなります。小型にできるのはもちろん、大容量情報の超高速通信も可能になるのです。
高効率の太陽電池も
そのほかにも、量子ドットを太陽電池に利用することによって、太陽光から電力への変換効率を飛躍的に高めることが期待されています。まだ、実用化はされていませんが、第3世代太陽電池として、かなり注目を集めています。
このように量子ドットは新しいテクノロジーにつながる、大変重要な次世代アイテムであると言えます。超低消費電力、高効率太陽電池などは、省エネやエコにもつながります。
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先生情報 / 大学情報
電気通信大学 情報理工学域 III類(理工系) 電子工学プログラム 教授 山口 浩一 先生
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