メンタルヘルスの課題を相談しやすい環境に
メンタルヘルスの課題とは
現代社会は非常にストレスが多い環境であり、それが原因になってメンタルヘルスの課題に直面する人が増加しています。今、特には心の不調を抱えていなくても、例えば家族が交通事故に遭って介護が求められるようになるなど、突然ストレスを受ける可能性は誰にでもあり、その結果として心の不調が生じるのは十分にあり得ます。
専門職の対応
メンタルヘルスの課題を抱えた人々からの相談に対応するのが精神保健福祉士などソーシャルワーカーの役目です。心の不調を感じたらすぐに相談できるのが理想でありながら、なかなか相談に至らないケースもあるのが現状です。相談を阻む要因として、相談場所がわからない、小さな子どもがいて連れて行きづらいなどの物理的な要因のほかに、相談する気持ちになれないという心理的要因も大きく存在します。この中には、専門職の対応の悪さも含まれていることが、調査により明らかになりました。健診などで専門家から声を掛けられた際に傷つくような一言があった、障害について理解に欠ける発言をされたなどの経験が不信感につながり、その後の相談に足が向かない結果となっています。
自己研さん支援ツールの開発
専門職の対応の改善策の一つとして取り組まれたのが、精神保健福祉士のための自己研さん支援ツールの開発です。相談に必要な専門職の技術を体系的にまとめられたほか、定期的な振り返りを促すツールが作成されました。日々の相談業務に追われてしまうと精神保健福祉士自身に余裕がなくなってしまい、それが相談時の対応に表れると考えられたからです。そこで、職場や地域内でペアを組んで実施者と振り返り担当者に分かれ、記録内容を振り返り担当者とともに定期的に見返します。そうすることで、自分の業務を客観視し、内容を更新しながら専門職としての資質向上を図ることができるようになっています。このツールはモデル実施を行ったあと、現在は普及をめざして無料公開されています。
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先生情報 / 大学情報
県立広島大学 保健福祉学部 保健福祉学科 人間福祉学コース 准教授 越智 あゆみ 先生
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