本人の希望をかなえることが、ケアマネジメントの目標
介護制度の根幹、ケアマネジメント
介護保険制度では、加齢や病気のために生活が難しくなった高齢者を支援しています。受給できるサービス量は要介護度に応じて異なり、要支援状態以上で受給できます。被介護者やその家族と相談して、ケアプランを立てるのがケアマネジャーです。介護サービスを提供する事業所などに属していて、被介護者の要望を聞き、与えられた条件の中で、最大限に実現できる支援・介護の計画を立てます。介護保険制度の根幹をなす重要な仕事です。
被介護者の要望を聞き出す
ケアマネジャーに求められるのは、被介護者の要望を聞き出すことです。生活する上で以前に比べて何が難しいのか、どういう生活をしたいのかを聞き取り、その実現に向け問題点を洗い出し、解決方法を考えます。例えば、歩行が困難だけど外出をしたい、それが自分の楽しみだという人の場合、車椅子をどうやって調達するのか、費用はどれだけかかるのか、外出時に誰が車椅子を押すのかという問題が生じます。それらを、利用できる公的サービスを含めて、本人や家族と一緒に考えます。しかし、家族に遠慮して自分の希望を言わない場合や、家族内不和などの問題がある場合もあります。その際有用な方法がソーシャルワークです。そうした場合でも、本人の希望を聞き出すことで、今実現できる短期の目標と同時に長期の目標も立て、段階的に目標を達成するようにします。
医療の限界の先を補うケアマネジメント
本人の希望を第一に考えるのは、それこそがその人が生きている証しだからです。その実現は生きる意欲につながります。このような方法は「ストレングスモデル」と呼ばれています。また、障がいなどがある場合、病気を治すという点でもよい結果をもたらします。医学では科学的に病気を診断して治療しますが、そもそも、治りたいという意志がなければ快方に向かいません。そして意志を顕在化するためには、本人の希望をかなえることが有効なのです。その意味で、ケアマネジメントは医療の限界の先を補っていると言うことができます。
参考資料
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
県立広島大学 保健福祉学部 保健福祉学科 人間福祉学コース 教授 金子 努 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
社会福祉学、人間福祉学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?