人間の想像力とモチベーションを刺激するコンピュータシステム
コンピュータシステムと人間
コンピュータは、単に人間の入力に応答するだけではなく、時には人間の行動に影響を及ぼします。例えば、パソコンで文章を書くとき、ワープロソフトを使うかプレゼンソフトを使うかによって書く内容が変わる場合があります。また、SNSに投稿するために、わざわざおいしいケーキを食べに行くこともあります。人間の情報の知覚や認知の仕組みを踏まえてシステムを設計することで、創造性を発揮させたり、やる気を高めたりしているのです。こうしたコンピュータシステムと人間との相互関係について研究する学問分野を「ヒューマンコンピュータインタラクション」といいます。
3つのスポーツ用具に例えるなら
人間を支えるコンピュータシステムは、3つのスポーツ用具に例えられます。1つ目はダンベルで、それ自体が目的ではなく、筋力をつけるための道具であり、特定の能力を伸ばすために使うシステムに該当します。2つ目はランニングシューズで、なくても走ることはできますが、より速く走るために使用するものです。3つ目はスキー板です。スキー板が作り出されたことで、人間はそれまで体験したことのなかったスキーという体験ができるようになりました。このことは、SNSの登場によって、自分の意見を世界中に発信し見知らぬ人とつながれるような新たな体験ができるようになったことと共通しています。
デザイン的な思考
スキー型のシステムをつくるには、デザイン的な思考が求められます。ハーバード・サイモンという学者は、デザインは「人工物の科学」であり、人間がつくり出すものがどうあるべきかを考えることであるとしました。つまり、コンピュータシステムへの専門的な理解をベースとして、「こんなものがあれば面白そうだ」「こういうものを見てみたい」といったアイデアを見つけること、そして、それを生み出すには何が重要で、何ができるようになるべきなのかを理論的かつ実験的に突き詰めていくことが、新たなコンピュータシステムのデザインにつながるのです。
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先生情報 / 大学情報
公立はこだて未来大学 システム情報科学部 情報アーキテクチャ学科 教授 中小路 久美代 先生
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