ピア・ラーニングで楽しく学びあう
子どもの学習意欲を左右するのは?
学校では、班やペアなどグループをつくって学ぶことが多く、集団のあり方によって子どもたちの学習意欲が大きく左右されます。周囲の友だちの働きかけや声のかけ方といったつながりが、学ぶモチベーションに影響を与えます。
ピア・ラーニングで学習意欲が変わる
グループ学習の一つである「ピア・ラーニング」を使った心理学の実験を紹介しましょう。ピア・ラーニングとは、友だち同士で数名のグループをつくり、お互い協力し合って学習する手法です。
実験では、先生が子どもに算数を教えている場面が映し出され、それを通して生徒が算数を学習します。“やる気あり条件”では、ビデオのなかの子どもは“面白い!”“なるほど!”など、意欲的な様子を示します。“やる気なし条件”では、子どもは“なんでやらないといけないの?”など、興味の低い様子です。この2つのビデオ授業で学んだ生徒は、算数へのやる気はどのように変化するでしょうか?意欲的な子どもを見た生徒では、自分が勉強するときにも“面白い”とやる気をもって取り組んでいることがわかりました。一方、意欲的でない子どもを見た生徒は、そのような影響は見られませんでした。友だちの意欲が、自分の意欲にも大きく影響していたのです。
心理学を生かしてクラスをマネジメントする
実験で学習意欲が高まった子どもは、問題を解く楽しさや学ぶ価値が友だちから伝わったのでしょう。自分ができないことでも誰かがやっていると、親近感を感じて行動しやすくなります。友だちという身近なお手本を得て、その子の行動を観察することで学習しているのです。
これは心理学の「モデリング理論」を学習に応用した考え方です。このような考え方は、例えばクラスの班の分け方や席順など、クラスのマネジメントに生かすことができます。クラスのマネジメントがうまくいけば、子ども一人ひとりの学習意欲は高くなり、社会性も身につけることができます。学ぶ意欲を育てる関係づくり、仲間づくりが集団で学ぶ意義なのです。
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