人工知能でロボットが空気を読んで会話できるようになる?
人工知能が言葉の深い意味を判別できる?
コンピュータを使ってデータを分析し、処理することは、いまや当たり前の時代です。中でも人工知能(AI)の研究は日々進歩し、近年では、人間の創造性豊かな思考や感情を表現し、言葉の持つ奥深い意味をくみ取り理解できる人工知能の開発が進んでいます。
言語、特に日本語は、同じ単語を使っていても、感情や文脈、解釈の仕方、時代の変化などにより意味が異なってきます。そうした言葉の不思議さ、多義性を分析する研究の第一歩は、膨大なデータを分類し、分析することです。
言葉の使われ方や文学作品の構造を分析
そのデータを生かした研究のひとつが、人工知能に物語を自動生成させるシステムの開発です。小説などの文章を構造的、技術的に分析する「物語論(ナラトロジー)」をベースに、言葉の組み合わせやレトリック(修辞技法)のパターンを人工知能に学習させます。それにより、あるテーマを与えると、人工知能が自動的に文章を作成し、物語を作るという仕組みです。ただし、ここで問題なのがレトリックです。レトリックとは、簡単に言えば「花のような人だ」のような表現、比喩や修飾語などのことで、文学作品でよく使われる手法です。レトリックを人工知能に組み込むには、その言葉が持つ深い意味合いも含めたデータを的確に与えなければなりません。そのためには自然言語処理や人文学の知識も必要で、理系・文系双方の学問が融合した研究なのです。
より多彩なコミュニケーションが可能に
単に辞書にある言葉の意味だけでなく、発言の奥に隠された意図や深い意味までコンピュータが判別できるようになれば、さまざまな分野でヒトとコンピュータの双方向コミュニケーションが可能となるでしょう。例えば、「その場の空気を読んで受け答えする人工知能」が生まれるかもしれません。しかもその会話も、ワンパターンないわゆる機械的な応答ではなく、相手によって言葉遣いを変え、状況に応じて臨機応変に答えてくれるものとなるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
公立はこだて未来大学 システム情報科学部 複雑系知能学科 教授 村井 源 先生
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