名選手・名指導者を生み出す「コーチング学」とは
十人十色の答えを模索する「コーチング学」
「スポーツおよびその指導現場に関する学問」と定義されるコーチング学は、日本では30年ほど前から始まった比較的新しい領域です。科学的なトレーニング方法に関する研究、どういう言葉をかけて選手のモチベーションを上げるかといったスポーツ心理学的な研究など、多種多様なアプローチからアスリートが能力を発揮するための研究が行われています。ただし、全員にあてはまる答えはなく、スポーツをする人の数だけ答えがあると言っても過言ではありません。これらのデータを積み上げ体系化していくことで、スポーツ文化や選手の能力向上、指導力の強化に寄与することを目的としています。
名選手、名将を生み出すには?
日本はスポーツ科学の分野では世界トップレベルの実績を誇るのに対し、指導者養成の分野では最下位に近いというパラドックス(逆説)をはらんでいます。その原因は、諸外国に比べ現場で学ぶという文化とノウハウがないことが大きいと考えられています。
名将と呼ばれる指導者には、長い年月をかけて選手を育てる中で獲得した膨大な経験があります。名将はその経験で得た原理、原則から、成功の可能性が高い手法を選んで選手を育成します。これは実は、コーチング学でデータを集め、定量化し、選手の能力向上の方法を科学的に導き出すのと同じプロセスです。コーチング学の体系化が進むことは、名選手、名将が生まれる可能性の拡大につながります。
トレーニングを科学的に学ぶことの重要性
トレーニングを効果的に行うために科学的な知見は欠かせません。トレーニング科学を学ぶことは、選手の能力向上だけでなく、選手の体を守ることにもつながるからです。激しい身体活動は危険と隣り合わせの状況でもあり、レベルが上がるにつれて強度も増し、同時にリスクも高まります。安全管理をしっかりとしながらトレーニングを続け、目標を実現するためにも、科学的に学ぶ意識は選手、指導者ともに重要だと言えます。
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先生情報 / 大学情報
関西福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科 准教授 熊野 陽人 先生
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