指導者は「学ぶことの専門家」 コーチングが競技者の能力を引き出す
コーチングって何?
「コーチング」という言葉は、教育、ビジネスをはじめ、さまざまな分野で活用されています。コーチングとは、目標を達成するために必要な知識やスキルをみつけ出し、そのクリアに向けたプロセスを支援し、その人が行きたいところに連れて行くことを意味します。指導者に求められる資質も変化しています。
「教える人」から「学び続ける人」へ
コーチは、「教える人」というよりも、最近では「学ぶことの専門家」という位置づけに変わりつつあります。スポーツの現場では、一昔前であれば根性論が隆盛し、水を飲ませない指導が当たり前でしたが現在では通用しません。逆にパフォーマンスを下げ、安全面でも問題です。また体罰、罰走なども同様です。罰は悪いことをした人に与えられるもので、例えば足が遅い、ボール操作が上手ではないというのは、指導改善余地であって、悪いことではないのです。できないからこそ、できるようにするための最適な方法を指導者が学び、提案することが大切です。つまり、指導する側が根底に持つべき資質は、人が好きであるということです。「教えることが好き」よりも、「成長してほしい」と思う気持ちをもって「育み」、できるまで「待つ」ことがコーチングには重要です。
指導するとは学び続けること
近年の傾向として、「インテグリティ」がスポーツで重要視されるようになってきました。これは誠実さ、高い道徳観などを意味する言葉で、スポーツの尊厳を壊さない指導法の実践は、競技を問わず強く求められています。コーチの質保障のためのライセンス制度では、取得して終わりではなく、維持するために不可欠なリフレッシュ研修も設定されています。指導者は、指導者であるために学び続ける必要があるのです。時代に合うトレーニング方法を探究し、コーチングを高めるための学びの場が提供され、自分の指導を振り返ることができるようになったことも、指導者が「学ぶことの専門家」となってきている背景に大きく影響していると言えます。指導者は、競技者と共に学ぶ人なのです。
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先生情報 / 大学情報
岩手大学 教育学部 保健体育科 准教授 清水 将 先生
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