地域の健康づくりを担う! 保健師と地域看護学
地域の健康をつくる保健師
地域の赤ちゃんから高齢者までのあらゆる年代と、病気の人だけでなく健康な人も含めたさまざまな健康レベルの、幅広い人を対象に看護を行うのが地域看護です。中でも保健師は、直接行う看護だけでなく、個人を介して、自助・互助・公助により集団や地域全体の健康レベルを向上させる「仕掛け人」としての役割があります。病院や医院などで患者さん個人を看護する看護師に対し、いろいろな機関・組織を通じて、市町村など地域全体の人々の健康をサポートする「地域の看護師」と言えます。
健康に暮らせるコミュニティづくりに関わる
遠方から引っ越してきた母親が、子育ての悩みを抱えているとします。しかし、その悩みはこの母親一人の問題ではなく、ほかの母親にとっても同様の問題である可能性があります。育児を終えた母親からアドバイスをもらえる組織づくりなど、ソーシャルキャピタル(社会資本)を醸成する必要が出てきます。身体情報から問題点を見つける病院での看護とは異なり、地域看護ではたくさんの情報から地域の問題点を見つけ出し、地域全体の健康レベルを上げるための計画を立てて実施する必要があるのです。現在、4カ月未満の赤ちゃんを保健師が全戸訪問する「こんにちは赤ちゃん訪問」や、高齢者の「健康寿命」と「平均寿命」の差を縮めるための「いきいき百歳体操」といった地域活動が進められています。
高齢者の生活実態を日頃から知っておく大切さ
近年、インターネットの発達などによって高齢者の健康に関する知識レベルが向上しており、「看護師が選ばれる」時代を迎えると考えられます。これからの看護師は「病気を治すこと」だけではなく、病気の高齢者が家に帰ったときの生活をイメージし、「その人の元の生活状態に戻ること」を最終目標とした看護を意識する必要が出てきます。核家族化により高齢者の生活がわからない学生がほとんどのため、実際の高齢者の生活を見る「家庭訪問実習」にも取り組むなど、日頃から高齢者の生活に関心を持つことが大切です。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
関西福祉大学 看護学部 看護学科 准教授 中村 有美子 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
看護学、地域看護学、保健学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?