アスリートを医学的に支える「アスレティックトレーナー」
メディカル分野でアスリートをサポート
スポーツトレーナーとは、アスリートが最高の状態で競技に参加できるようサポートする人のことを指します。なかでも、アスレティックトレーナーは医師や指導者と連携して、選手の健康管理やけが予防、応急処置、リハビリテーションなどを行うメディカル・コンディショニング分野の専門家です。アスリートは、ただけがが治ればいいわけではなく、パフォーマンスをできるだけ落とさず、けがを再発させないようにしながら復帰する必要があります。
例えば、野球のピッチャーが肩を痛めた時、負担がかかっている肩だけにケアやトレーニングをするのでなく、体幹を安定させ、胸椎(きょうつい)を回して投げるなどの指導をすることで肩への負担を軽減でき、痛みの改善と再発予防につながります。
けがの原因に関する正しい知識を提供
けがのリスクを軽減するためには、けがの原因を把握することが必要です。どのような人や運動でけがのリスクが高まるのか、という正しい情報を知るためには、選手の状態を記録し、データを分析するといった医学的な観察の蓄積が必要です。
一般的に、けがの予防には「柔軟性がある方が良い」とか「扁平(へんぺい)足はよくない」などと言われます。しかし、体の硬い選手だけが肉ばなれなどのけがをするわけではなく、柔らかくし過ぎてパフォーマンスが落ちることもあります。また、扁平足よりも甲が高くて硬い足の方がけがをしやすい競技もあります。つまり、それぞれのけがや競技ごとに、正しい情報が何かを調べ、伝えることが重要です。
広がるトレーナーの活躍の場
このように、トレーナーには骨や筋肉といった運動器に関する専門的な知識が不可欠です。けがの予防やけがからのスムーズな復帰を考えるとき、その手法によっては選手の実力をさらに伸ばす可能性もあるほどです。
この知識と技術はアスリートだけでなく、一般の人たちにも効果的です。スポーツ愛好家や高齢者の運動をサポートするパーソナルトレーナーも注目され、活躍の場はどんどん広がっています。
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先生情報 / 大学情報
中京大学 スポーツ科学部 トレーナー学科 准教授 倉持 梨恵子 先生
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