病は気から? ~心と体のバランスを整える「鍼灸」の力~

病は気から? ~心と体のバランスを整える「鍼灸」の力~

心と体を一つのものと考える東洋医学

最近、肩こりや頭痛がひどい、よく眠れない、朝起きられない、体がだるくお腹の調子が悪いといった不調を感じることはありませんか? こうした症状を自覚しているのに、「部活やテスト勉強で忙しいからちょっと調子が悪いだけ」と軽く考えているとしたら要注意です。人間関係や進路などの悩みでストレスが大きかったり、長く続いたりすると、心と体のバランスが崩れ、病気ではないけれどさまざまな不調があらわれます。
このようなとき、鍼灸(しんきゅう)をはじめとした東洋医学は、個人の体質や生活習慣、体内のバランスの乱れなどを不調の原因と考え、心と体のバランスを整える治療を行います。

鍼灸は心と体のバランスを整える治療法

鍼灸治療というと肩こりや腰痛がつらいときの治療法として知られていますが、鍼や灸の刺激は神経と血流を調節できるため、神経や血流の異常でおこる片頭痛、うつ病や不眠などにも効果的なことが最近わかってきました。また、薬を使わないため副作用もなく、スポーツ選手や妊娠・授乳中の女性でも安心して受けることができます。「病は気から」という言葉があるように、心と体は密接につながっています。ですから、「病を治療する」西洋医学に対して、人間の病気を総合的にとらえ「心と体を治療する」鍼灸が今注目されているのです。

西洋医学との相乗効果

投薬を行わずに施術を行う鍼灸師は、プロスポーツ業界でも注目され、アスリートのコンディショニングやリハビリテーションの指導を行っています。また、鍼灸の施術を美容の分野に応用した美容鍼灸を行うクリニックやサロンも増えるなど、鍼灸師はさまざまな領域で活躍しています。
近年、現代病といわれるがんやうつ病患者が増加しており、西洋医学に偏った医療は見直しの時期にあると言っても過言ではありません。西洋医学は科学的で分析的な反面、個人に合わせたテーラーメード医療を苦手とします。そんな弱点を補い、治療の効果を高める医療として、鍼灸を中心とした東洋医学への期待が高まっています。

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先生情報 / 大学情報

帝京平成大学 ヒューマンケア学部 鍼灸学科 教授 久島 達也 先生

帝京平成大学 ヒューマンケア学部 鍼灸学科 教授 久島 達也 先生

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東洋医学、鍼灸学

メッセージ

これまで、鍼(はり)の刺激が自律神経系や脳血流に及ぼす影響を研究してきましたが、近年、顔の感覚をつかさどる三叉(さんさ)神経に鍼の刺激を与えることで、脳の血流がよくなり、片頭痛やうつ病、睡眠障がいなどにも効果的であることがわかりました。また、ツボを刺激することで変化する血流量を測定し、ツボ刺激の効果を数値やデータで科学的に証明することにも取り組んでいます。
客観性に優れた西洋医学と、心と体のバランスを整える東洋医学のそれぞれの利点を合わせた「統合医療」は、21世紀の医療として注目されています。

先生への質問

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「実学の総合大学」、帝京平成大学。
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