当たり前の動作が行えなくなったら、どうなるか考えよう
立ち上がりや歩行の仕組みを考えてみよう
あなたは椅子からの立ち上がり動作や歩行動作が、どんな関節運動や筋肉の働きで可能となっているかを考えたことはありますか。怪我や障害を持つことになって、初めてそのような身体に対する意識を向けることになる人も多いでしょう。「動作の専門家」ともいわれる理学療法士は、患者が日常生活で当たり前に行えていた基本動作が困難となった原因を追求するために、動作の観察や分析を行います。あなたも、代表的な基本動作である椅子からの立ち上がり動作や、歩行動作の基本的な仕組みを理解してみませんか。
障害を持つと、当たり前の動作ができなくなる
さまざまな基本動作を安定して行うためには、ヒトの動作中の支持基底面と重心線との位置関係が大切であり、これらが不安定とならないように筋活動や関節運動が行われています。怪我や障害を持つとそのような位置関係が崩れやすくなるため、当たり前の動作ができなくなったり、違う動作パターンになったりします。怪我や障害を持った時に、立ち上がり動作や歩行動作はどのように変化するのか、代表的な例を通して考えてみましょう。
理学療法士としての「浮き指」研究
立っている時、あなたの足の指はすべて床についているでしょうか。もし浮いている指があれば、それは「浮き指」という状態で、その程度によっては立位姿勢や歩行に影響を与えている可能性があります。靴のサイズの不一致や女性の履くパンプスなど履き物の影響により、足の指が十分に機能していない状況では、浮き指になる傾向があります。浮き指がある人では足指把持力、立位での前方重心移動能力が低い傾向にあります。
足指に対するトレーニングが足指把持力や立位での姿勢制御を向上させ、歩行の在り方を改善することがさらに確実に証明できるよう研究が進んでいます。理学療法士の使命は、人間の基本的動作能力を改善することにあります。このような「足指の浮き」という症状を甘く見ず、きちんと対応することが大切です。
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先生情報 / 大学情報
帝京平成大学 健康医療スポーツ学部 リハビリテーション学科 理学療法コース 准教授 五日市 克利 先生
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