うまく言葉を話せない子どもに、正しい発音の獲得を!
正しく発音できない構音障害とは?
子どもは成長とともに言葉を覚え、「たかな→ちゃかな→さかな」のように正しい発音を身に付けていきます。しかし、もうすぐ小学生という年頃になって、言葉の意味は理解しているし伝えたい言葉もわかっているのに、上手に発音できないことがあります。理由として考えられるのが、発音時に大事な役割を担う舌や唇などをうまく動かすことができない構音(こうおん)障害です。舌や唇、口蓋(上あご)の形態異常や難聴、知的発達の遅れなど原因はさまざまで、それに適した治療が行われます。一方で、明らかな原因がないにもかかわらず間違った発音をしてしまう、機能性構音障害の子どももいます。
訓練で治せる機能性構音障害
機能性構音障害は、言語聴覚士による正しい発声や発音の訓練でほとんどが治ります。はじめに何の音がどのように間違っているのかを、言語聴覚士が構音検査で確認し、舌の使い方や口の動かし方を指導します。正しい発音を覚えたら、次は単語や会話でも正しく言えるように練習していきます。障害の種類にもよりますが、数カ月後には正しく発音できるようになります。上あごに電極を装着し、舌と口蓋の接触状態を見て発音の状態を確かめられる装置(EPG)の開発など、効果的な治療方法の研究も進んでおり、治りにくい子への有効性が実証されています。
誰でも評価できる構音検査の開発
発音や言葉の発達の遅れのために、コミュニケーションに課題を抱える子は少なくありません。その中でも、構音障害の子どもの割合は高く、構音障害の治療のニーズは高まっています。構音の治療には構音検査による評価が必要となりますが、構音の評価は難しく、正確に評価するにはある程度の経験が必要です。海外では、だれが検査をしても正しく評価ができるように、構音検査の結果を得点化して客観的な指標を算出する検査法が開発されています。日本においても、誰が検査をしても正しく評価できる客観的な構音検査の開発が望まれています。
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先生情報 / 大学情報
東北文化学園大学 医療福祉学部 リハビリテーション学科 言語聴覚学専攻 准教授 中村 哲也 先生
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