高校で習う関数や微分が使われる「ディープラーニング」
自ら学習するディープラーニング
車や船などの自動運転の技術は、世界で盛んに開発が進められ、一部は既に実用化の段階に差し掛かっています。本来なら人間が行う認知・判断・操作を機械が行うために、内蔵されているコンピュータではディープラーニング(深層学習)が用いられています。例えば認知の部分では、車に取り付けられたセンサがキャッチした情報から、周囲の歩行者や車、信号や標識、道のレーンや分岐などを正確に見分けなければなりません。周囲の物体は、さまざまな色や形があり、見る角度によっても変わります。それらを一つひとつ教え込むわけにはいかないので、プログラムにあらかじめ大量のデータを学習させ、大づかみで理解させるのです。
ニューラルネットワークで用いられている関数
人間の脳内では神経細胞を通じて学習が行われています。この神経の仕組みを数式的なモデルで表現したものをニューラルネットワークと呼びます。ニューラルネットワークを多層構造化して学習させるのがディープラーニングです。ニューラルネットワークは入力層、中間にある複数の隠れ層、出力層からできていて、層から層へと情報が変換されていきます。ニューラルネットワークは入力に対して出力を与える複雑な関数と考えられますが、実は高校数学までに習う一次関数や折れ線グラフの関数の組み合わせで書かれています。
微分を使って関数を改良する
関数にデータを入力して出てきた値が予測値となります。つまり、車であるかどうかの確率がどれくらいかという値です。学習において与えるデータは解答がある問題集のようなもので、一度間違ったら、次は正解できるように、関数をプログラムが自動的に改良していきます。その際、関数に含まれるパラメータ(定数)を少し変えたときに、予測値と正解値の差がどのくらい変化するのかを微分を用いて表したものを使用します。高校数学では微分を使って関数の最小値と最大値を求める問題がありますが、それと同様に予測の精度を上げるために微分が使われているのです。
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東京海洋大学 海洋工学部 流通情報工学科 教授 竹縄 知之 先生
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