AIがスポーツコーチになる日も近い!
第3次AIブームの鍵は「ディープラーニング」
実はAI(人工知能)の歴史は古く、初めて提唱されたのは1950年代後半でした。第2次のブームが訪れた1990年前後には、人間らしさや人間的な感性をコンピュータに実装する試みが行われ、「ファジィ」や「ニューロ」理論を応用した家電が登場しました。そして2015年頃から第3次といわれるブームが盛り上がりを見せていますが、その立役者は「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる技術です。
人間のように思考を深化させるAI
ディープラーニングは、人間の脳の生物学的な仕組みをソフトウェアで再現しようとする「ニューラルネットワーク」というシステムをベースに、膨大なデータから知識を獲得する「機械学習」の仕組みによって、人間が自然に行う決定や思考、認識をコンピュータで実現しています。人間の脳の神経細胞の仕組みを模したニューロンを多層的に重ねたニューラルネットワークを深く学習して、膨大なデータの特徴を獲得できるのがディープラーニングの強みです。囲碁の世界チャンピオンに勝ったディープラーニングのAIアルゴリズムは、大量の対戦データから勝つための戦略を自己学習し、試合中のあらゆる局面で取りうる「手」を評価して予測し、瞬時に最も有効な指し手を選択しています。
AIがスポーツコーチになる
同様に、対戦スポーツで、AIアルゴリズムが相手の動きから勝つための戦略を瞬時に立て、次の有効な攻撃を選手にコーチングすることも夢ではありません。卓球を例にとると、過去の試合動画からボールの軌跡や回転、選手の動きなどの大量のデータを抽出し、AIアルゴリズムがそれらのデータを知識化して、相手の攻撃を予測した上で「勝ち」パターンを導き出すことができます。また、選手の能力を引き出してくれるAIコーチング型ロボットを作ることも可能です。人間の脳のさまざまな有効的な仕組みをプログラムで実現する脳知能モデルの進化は、これからの社会を大きく変えていくでしょう。
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先生情報 / 大学情報
関西大学 総合情報学部 総合情報学科 教授 林 勲 先生
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