自ら状況判断して動くAI 研究の英知を結集し「ロボカップ」に挑戦
人工知能のサッカー競技「ロボカップ」
「ロボカップ」は、人工知能(AI)が自分で状況を判断して動くロボットのサッカー競技会です。その中の「シミュレーションリーグ」では、ロボットの実物はなく、人工知能がディスプレイ上の仮想フィールドで対戦します。一見するとテレビゲームのようですが、ゲームが始まれば人間は一切関与しません。
ディープラーニング(深層学習)に代表される機械学習の手法を用いて、選手11人と監督1人のそれぞれ独立した人工知能にサッカーの知識を教え、自ら学習していくようにプログラミングしてチームを作ります。選手は人間と同じように前方しか見えず、全体を俯瞰して把握することはできません。試合中に監督が相手の動きを見ながらフォーメーション変更の指示を出すなど、それぞれの人工知能が的確に状況を判断することが不可欠で、チームとしていかに統率をとるかが難しく、おもしろいところでもあります。
人工知能が自分で考えて動く
味方が蹴ったボールを受け取りにいくことを人工知能に学習させる場合、「ボールの動きにどう合わせるかを自分で考えなさい」という課題をコンピュータに与えると、人工知能が内部で処理して動くようになります。課題を与えた人間は目的だけを指示して、方法は人工知能に任せるのです。そのためロボカップのサッカーでは、ときどき人間が想像もしないところにボールを蹴って、そのパスがゴールにつながることがあります。人工知能なりに一番いい方法を探しているのです。
人工知能を賢くするには?
現在はまだ、ロボカップ世界大会で優勝する人工知能がそのままほかの分野で使えるという段階ではありません。まずサッカーに特化して、人工知能をどうやって賢くするかを研究するのがロボカップの目的です。
人工知能が自ら学習するとはいえ、何を学ばせるかを取捨選択するのは人間です。選択を誤ると人工知能はうまく動きません。人工知能の研究者にはサッカーをはじめ、幅広い分野の知識が求められるのです。
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大阪公立大学 現代システム科学域 知識情報システム学類 教授 中島 智晴 先生
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