移動の困りごとを解決! 交通ビッグデータを生かして観光を楽しく
データを読み解こう
スマホを持ち歩き、出かける時にはナビゲーションを利用するのが日常的になりました。旅先でも情報を受け取り、SNSで発信もできます。世の中には、そうした活動から得られる位置情報をもとにしたビッグデータをはじめ、検索ワードランキング、人の動きなど、無料で自由に使えるデータが実はたくさんあります。観光振興の武器になるようなデータです。それらを読み解けば、例えば、アジア人とヨーロッパ人の観光ルートの違いが見えたり、移動手段の課題が浮かんできたりします。そのうえで、解決のアイデアを地域に提案し、一緒に「実験」することで、新しい観光の楽しみ方を作ることができます。
交通実験で演劇祭ににぎわい
兵庫県豊岡市を舞台にした「豊岡演劇祭」では、多くの拠点で演目を同時開催しますが、バスの本数が多くないので、劇場間を巡る「移動」が課題の一つです。2020年はオンデマンド交通の運行実験が行われました。現在地と行き先、時間をスマホで予約すれば、行程が似ている旅行者を途中で乗せながら来てくれる、乗り合いタクシーのような乗り物の導入です。既存の高速バスも乗り降りできるよう調整したところ、最終バスの後の時間帯でも演劇祭を楽しみやすくなり、但馬グルメを紹介するナイトマーケットににぎわいが生まれました。期間限定の試みですが、利便性は確実に向上しました。
「新しい乗り物」でデータをつくる
データの活用と同時に、データを作ることで可能性は広がります。例えば、新たに始まる電動三輪自転車や電動キックボードを貸し出すプロジェクトへの参画です。風変わりな乗り物には体験する価値がありますし、集めた位置情報などから、観光資源や宣伝戦略が見つかるかもしれません。車社会となっている地域では、運転免許を持たない若者や高齢者、観光客が交通弱者になりやすいという課題があります。移動の困りごとの解決は、観光振興だけでなく、元気で住みよい地域づくりにも貢献できるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
芸術文化観光専門職大学 芸術文化・観光学部 芸術文化・観光学科 講師 野津 直樹 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
観光情報学、観光交通論先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?