観光の未来は地方にあり 観光で経済が回る仕組みをつくれ!
地方には魅力的な観光コンテンツが眠っている
今後の日本経済を支えると言われるほどに、観光マーケットが拡大しています。しかも地方には、SDGsに関心を持つツーリストが求めるような、サステナビリティ(持続可能性)にあふれたコンテンツがまだまだ眠っています。なぜなら、地域の人にとっては当たり前すぎて価値に気づかなかったり、少子高齢化により観光事業として軌道に乗せられなかったりするコトやモノがあるからです。そこで企業の組織運営などに使われている「戦略マップ」という管理会計のツールを観光マネジメントに用いて、地方のツーリズムシステムを俯瞰(ふかん)的に分析し、観光で経済が回る仕組みをつくるという研究が進められています。
地域の人と知り合って、話して作る戦略マップ
研究は地域の人とネットワークを作ることから始まります。具体的には、地域の人と知り合って話をする中でいろいろな困りごとなどを聞いていきます。例えば、和歌山県の田辺市にある「秋津野ガルテン」は、地域の人が出資して、廃校になった校舎を再利用して作られたグリーンツーリズム施設です。さまざまな農業体験ができ、コワーキングスペースも備えています。研究者は、施設を運営する地域の人へのインタビューなどを通して継続的に研究者の目線で観察するアクションリサーチを行うなど、地域の人と一緒に戦略を練ってきました。
みんなが幸せに暮らせるビジョンを作る
戦略マップを振り返ってみると、秋津野ガルテンでは2015年頃から先見の明を持って外国人への対応を考え始めています。コロナ禍前にインバウンド(訪日外国人旅行者)がピークを迎えた2019年頃には、交流コンテンツや対応マニュアルなどをしっかり整えていました。
こうした研究の目的は、つくりあげた仕組みを他の地方自治体や社会的企業にも応用できるよう、一般化することにあります。観光によって地方の経済を循環させて、どこに暮らしていてもみんなが幸せになれる社会をつくることが目標とされています。
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先生情報 / 大学情報
和歌山大学 観光学部 観光学科 教授 八島 雄士 先生
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