地域価値の創造と観光の仕組みづくり
注目されるカナダの観光政策
観光は、経済を動かして雇用を生み、まちづくりに大きく関わります。日本ではインバウンド政策により、国立公園にホテルを誘致する計画も進行していますが、まだまだ観光政策が遅れているといえます。
例えばカナダは、ロッキー山脈などで古くから観光化した国のひとつです。かつて環境破壊を引き起こした歴史を踏まえて、今は先進的な取り組みをしています。森に通した高速道路の上に動物用の道を作るなど、環境に配慮した開発をしており、日本も大いに参考になるでしょう。
地域の大切なものが観光資源に
また、地域の価値の再発見が観光につながります。加えて、その魅力を海外にも発信することが欠かせません。その際は、必要な情報だけでなく、意図や目的、思いも伝えることが重要です。
具体例として、岡山県の過疎地で、大切にされてきた神社の祠(ほこら)を直すプロジェクトがあります。目的は観光資源化ではなかったのですが、その資金集めのクラウドファンディングを国内外に発信したところ、海外からの送金もあり、目標以上の資金収集に成功しました。その後、祠を解体して使える木材を洗うイベントが開催されました。自分が洗った木材が祠の一部となり、200年先まで残ると思うと愛着が湧くのか、人が自然と足を運ぶようになっています。継続した誘致に成功した例といえます。
英語力とホスピタリティ
これからの観光には、ホスピタリティが重要です。観光は人と人とのつながり、コミュニケーションが不可欠です。日本の「おもてなし」は世界に誇れるものであり、訪日者の異文化を受け入れて、英語など異なる言語でもてなすことは、インバウンドに必須です。
さらに、動画やVR、ARなどを活用した地域コンテンツの構築も重要です。ほかに、音楽や芸術、日本食といった側面からも地域観光を考察できます。インバウンドが盛んな今、地域観光と国際観光、異文化理解、ホスピタリティを軸に観光を再構築する必要があるのです。
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