地域社会の誇りとなる演劇の可能性を追究する
演劇による学び
演劇の学びには大きく分けて2つあります。一つが劇作家や演出家などの演劇人となるための学びです。公演・作品等の企画や制作の手法に加え、基礎的な教養や経営の知識を学ぶことで自立できる演劇人をめざします。
もう一つが、演劇の手法を用いてコミュニケーション能力を培う教育です。演劇というのは、自分とは異なる価値観を持つ役を演じることで、自分の役割と同時に他者を理解し、相手と意見をすり合わせるための「合意形成能力」を身につけることができます。
演劇が培うコミュニケーション能力とは
異なる価値観を持った人の行動を理解する他者理解は、現代社会において欠かせない能力です。日本人はコミュニケーション能力が低いと言われますが、これは能力が低いのではなく、能力を引き出す訓練を受けていないためです。将来、社会に出てどんな仕事をするときも、共に活動する中での自分の役割を見出し、共通する目標に貢献することが不可欠で、これが社会で活躍するための最も大事な基礎的能力です。
演劇では演じる人同士はもちろん、観客とも「イメージ」を共有することが重要です。自分のイメージを相手にうまく伝え、相手のイメージをわかろうとすることで、合意形成のためのコミュニケーション能力が身につきます。また、仲間と作品を創る中でどのように協働して集団をつくっていくかを学びます。
演劇と地域社会を結ぶ
演劇には、演劇そのものがもつ直接的な役割である人の心を豊かにすることに加えて、教育や医療、福祉などの異なる分野と連携することで、その分野が抱える課題を解決し、人と人、あるいは人と社会をより良い形でつなげる役割があります。さまざまな課題を抱える地域が、持続可能な魅力あるまちになっていくために、演劇を目的として学ぶにせよ、手段として学ぶにせよ、それ単体ではなく広く地域に生かすことによってコミュニティを活性化する新たな可能性があるのです。
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先生情報 / 大学情報
芸術文化観光専門職大学 芸術文化・観光学部 芸術文化・観光学科 教授 平田 オリザ 先生
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演劇学、芸術学、リベラルアーツ先生が目指すSDGs
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