光ファイバでより多くの情報を低コストで送る工夫とは?
ガラス繊維に光を通す
光ファイバは、直径約0.1ミリのガラス繊維です。これにレーザ光を通して点滅させることで、信号が伝わります。光が通る部分は数ミクロンから10ミクロンの太さで、中心部分が周りより屈折率が高くなっており、全反射の現象を利用して光を閉じ込めて、遠くまで伝わるようになっています。家庭のフレッツ光やauひかりなどの光回線にも使われています。またスマホの場合、基地局までは無線でやり取りしますが、基地局から交換局、さらに遠くの都市や海外などに情報を伝達するときには光ファイバが使われています。
ほかにも光ファイバは、「センシング」といって、ビルや橋などの建造物に張り付け、その振動やヒビの入り具合を測定することにも使われています。
さらなる性能アップをめざす
光ファイバはIoT(モノのインターネット)社会になくてはならない技術です。スマホの4Gだと最大で1秒当たり1ギガビット、つまり10⁹ビットの情報を伝送できますが、光ファイバでは1秒当たり10テラビット、1万倍以上になります。現在、さらに性能を上げる研究が進められています。性能を上げる方法としては、信号の形を工夫して伝送するビットの数を増やす「多値通信」という方法や、1本のファイバ内に光が通る道を複数作り込む「マルチコア、マルチモードファイバ」という方法があります。さらに開発が進めば、テラの上、毎秒10ペタビット以上の情報を送ることが可能になります。現在、5Gの先の世代の情報通信に対応できる光技術の研究が始まっています。
大量の情報を低コストで送り届けるのが課題
光ファイバの構造は単純ですが、世界を変える力を持っています。大きな課題はコスト面です。複雑な工夫を施せば、性能は上がるのですが、それにともなってコストも上がります。1秒当たりに送ることのできるデータ量を増やすための簡単な仕組みを作ることが課題です。1本のファイバで、より大量の情報を低コストで送り届けるために、世界中の研究者がしのぎを削っているのです。
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和歌山大学 システム工学部 システム工学科 電気電子工学メジャー 教授 松本 正行 先生
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