人間の暮らしを支え、ともに生きるロボットの可能性
総合的学問としてのロボット工学
ロボット工学とは、ロボットをつくり、動かすために必要な学問を総合したものです。1960年代以降に普及した産業用ロボットの発展にともない、学問として確立されてきました。ボディやメカニズムをつくる機械関係の学問や、内部の回路システムをつくる電気関係の学問、ロボットを操るソフトウェアをつくる情報処理など、幅広い分野の知識や理論が必要です。また、机の上で完結する学問ではなく、研究者の考えをロボットというリアルな形で実現し、検証できるという特徴を持っています。
世界に誇れる日本の産業用ロボット
1960年代にアメリカの自動車製造ラインに導入されたところからはじまり、日本で目覚ましい成果を上げた産業用ロボットは、世界中に普及し発展を遂げました。製造や組み立ての場面では、腕や手のような形状をしたマニピュレータというロボットが主に使われています。しかし、近年はコンピュータの情報処理能力の発達にともない、四脚型ロボットや人型のヒューマノイドなど、さまざまなタイプのロボットが開発されています。特に日本では少子高齢社会における労働力不足を背景に、ロボットに対するニーズはますます高まっており、災害や福祉、サービス、農業など、幅広い分野で活用されるようになってきました。
ロボットを知り、より身近な存在に
ロボットの研究が進み、その可能性と限界が明らかになってきたため、人間の意識も変化してきました。ロボットを、すべてを任せられる万能な存在としてとらえるのではなく、例えば農業の分野ならば「収穫する」「運ぶ」「受け渡しをする」など、ポイントを限定してよりフレキシブル(柔軟)に活用するようになってきました。
さらなる発展のためには、ハードウェアに人間のような柔軟性のある動きを持たせ、時間や気候、状況の変化といった現実の変化に対応させるなど、課題がたくさん残されています。それでも、社会の中で人間とロボットが同じ空間をシェアし協働する機会は、今後ますます増加するでしょう。
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先生情報 / 大学情報
和歌山大学 システム工学部 システム工学科 教授 中嶋 秀朗 先生
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ロボット工学先生への質問
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