太陽光発電の有効活用のために、「制御工学」にできることとは?
太陽光発電を効率よく運用するには?
太陽光発電の活用は、エネルギー資源や環境問題対策として大いに期待されています。しかし太陽光の発電量は天候に左右されるのはもちろん、日中は十分に発電できても、夜間に発電できないという問題があります。そのため日中に発電した分を蓄えて、夜間に使えるようにするなど、電力の需要に合わせ供給をコントロールする必要があります。太陽光発電を運用するには、日射量などの天候や、生活の中で必要な電力量といった予測情報を活用しながら、電力の供給システムを制御することが必要になります。
「スマートグリッド」は壮大な課題
安定的な電力供給を行うため、電力システムを制御するシステムは「スマートグリッド(次世代送電網)」と呼ばれています。天候に左右される太陽光発電の電力をどうすれば効率よく、また安定して巨大な電力システムの中で使うことができるのか、さまざまな企業や研究機関が共同研究に取り組んでいます。
例えば、発電量を調整できる火力発電を併用すれば、太陽光が足りなくても安定的な電力供給が可能になります。また、火力発電で調整できない場合は、どの程度、蓄電池で備えられるかも検討する必要があります。スマートグリッドは、街全体で取り組むことになる壮大なテーマなので、気象、電力システム、制御工学の専門家などがチームを組んで調査、研究を行っています。
想定外の変化にも対応できる仕組みづくりを
予測通りに物事が進まないことは多々あり、制御システムを組み立てる上では、あらかじめ想定外の変化にも柔軟に対応できるように備えておかなければなりません。このようなときには「予測制御」という分野の研究が役に立ちます。不確かなものに対しても動じない、強いシステムをつくるのも制御工学の大きなテーマで、「ロバスト(頑強な)制御」と呼ばれています。環境問題の解決にもつながるクリーンエネルギーへの転換実現には、制御工学が重要な役割を果たすことが期待されているのです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 システムデザイン学部 機械システム工学科 教授 児島 晃 先生
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