見えない枝の形がわかる? 画像解析で農業や生物学に貢献
画像解析で農業に貢献
植物を撮影して、形や構造をデータで復元する技術の研究が進められています。ドローンなどを使って植物を撮影しただけで枝や葉のある位置を認識できれば、農作物の栽培や収穫、よく育つよう適度に枝を切り落とす「せん定」などをするロボットの開発に役立つからです。しかし葉の裏に隠れた枝の形なども推測できなければ、切り落とすべきではない枝を切り落としてしまう可能性があります。この課題を解決するために、撮影した画像を大量に読み込ませたり、植物の3Dモデルを作成したりして人工知能(AI)に深層学習させる研究が進んでいます。さまざまな角度から植物の3Dモデルを撮影した画像を人工知能に与え、枝と葉の位置関係や組み合わせを学習させるのです。すると植物の画像を見せただけで枝の形や位置を推測できるようになります。
植物を認識させることが難しい理由
コンピュータに画像(映像)の内容を理解させることを目的とする研究分野であるコンピュータビジョンにおいて、植物の枝葉などの画像解析は挑戦的なテーマのひとつと考えられてきました。隠れて見えない箇所があるだけでなく、葉と枝の色がほぼ同じ場合や、角度によっては葉が枝のように見える場合などがあるからです。また、葉が深く生い茂っている木は枝がまったく見えないため、全く新しい予測方法を考える必要があります。
品種改良前から植物の形が推測できる?
植物の画像解析技術は、未来の形を推測するときにも役立ちます。植物科学や生物学にも導入され始めており、ゲノム解析に用いられる植物を撮影し、形と遺伝子の関連を解析する技術も取り入れられ始めてています。画像解析で枝や葉がどのように育つのかを推測できれば、実際に植物が成長するまで待たずに、品種改良などで手を加えるべき遺伝子を比較的短時間で見つけられる可能性があります。ほかにも実ができそうな場所や、将来かかりそうな病気を考えるときのヒントにできるよう、植物の画像解析技術の改良が進められています。
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大阪大学 大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 准教授 大倉 史生 先生
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