レスキューロボットの進化の形 カギは「フェーズフリー」
レスキューロボットの進化
現在まで、日本は何度も大きな災害に見舞われ、そこではレスキューロボットが活躍してきました。しかし、例えばその災害現場にふさわしいロボットが開発されているのに、現地まで運ぶ手段がない、操作する人員がいないなど、活用できなかったケースもありました。そのたびに、使命感を持った開発者たちが問題を解決して、レスキューロボットは徐々に改善されて進化を遂げてきました。
建設重機のロボット化
災害対応における方向性として注目されているのは、災害時と平時を区別しない「フェーズフリー」という考え方です。
例えば、日ごろから建設現場でロボットを活用して、災害時にはレスキュー用に転用するというコンセプトで、さまざまな技術が研究されています。各地域の建設業で使うダンプトラックを自動運転にしたり、パワーショベルなどの建設重機をロボット化したりするのです。日ごろの業務では高齢化で作業員不足になっている問題を解決できて、しかも災害時には人の入れない危険な場所でも作業できます。
さらに、低コストでロボットを普及できるように、既存の車両や重機に自動化・ロボット化できる装置を取り付けて改良する「レトロフィット」という考え方も重視されています。
無限の可能性を秘めたロボティクス
レスキューロボットの進化は、ロボットの形も変えようとしています。水を放射しながら空を飛ぶ「空飛ぶ消防ホース」や、ドラえもんの手のように「どんな形でも柔らかくつかめるソフトハンド」などが研究されています。建設分野では、現場をバーチャル空間に再現し、シミュレーションを活用して、効果的・効率的な作業手順を検討できる「デジタル・ツイン」が進められており、これを災害現場に応用して、現場のロボットと連動して作業することも可能になると思われます。
このように、ロボティクス(ロボット工学)は、「自分で考えて動く機械」を作るだけでなく、工学をはじめ様々な分野と連携することで、無限に広がる可能性を持っているのです。
参考資料
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麗澤大学 工学部 工学科 教授 鈴木 高宏 先生
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