安くてシンプル! 発想の転換で生まれた人追従ロボット
発想の転換! センサーのないロボット
ロボットには、「目」の役割をするセンサーが欠かせません。周りの障害物を把握して、ぶつからないように動くために必要です。
ただ、センサー類は高額なものも多いです。例えば、レーザーや電波を照射して、物体に当たって跳ね返ってくるものを受信するまでの時間から距離を高精度に測るなど、複雑な仕組みが必要です。それを使ったロボットも高額になり、ロボットの普及が進まないという面もあります。
しかし、そうした現状を救う、画期的な技術ができました。「ロボットにはセンサーが必須」という常識的な発想を転換して、センサーの代わりに安価な普通のカメラを使ったロボットです。
カメラで物体認識して距離を測る
スマートフォンのカメラは、顔認識すると画面に四角い枠が表示されます。このロボットのカメラでは、人に着けたマーカーを認識すると枠が表示されます。枠とマーカーの画面上の大きさの比率から距離を計算してロボットが人にぶつからずに追従します。
この技術で、歩く人に付き添いながら荷物を運ぶロボットができました。交通機関の少ない観光地で荷物を乗せたロボットが人に追従します。歩く程度の速度ですので、危険な状況になれば人がロボットを止めることもできます。また、トラックの入れない小規模な畑で収穫物の搬送を行う、作業者の後を追従するロボットも製作されました。
ロボットで介護施設の巡回も
建物の中なら、人を追従しなくても、ロボットにあらかじめルートを設定しておき、カメラで周りの障害物を確認しながら自動で移動させることも可能です。介護施設などでロボットが夜間の巡回をしてくれれば、人手不足の解消にもなります。
カメラの精度はセンサーには及ばないものの、環境の変化が少ない場所でゆっくり動くという条件でなら、カメラと小さなコンピュータだけ搭載したロボットでも、十分に人をアシストできることがわかります。こうした工夫により、今後は生活の中でもっと気軽にロボットを活用できるようになるかもしれません。
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佐賀大学 理工学部 理工学科 機械工学部門 教授 佐藤 和也 先生
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