より多く、より遠くへ 進化し続ける光ファイバー通信

より多く、より遠くへ 進化し続ける光ファイバー通信

通信を画期的に変えた光ファイバー

光ファイバーを使った光通信は、それまでの金属ケーブルを使用した通信に比べ、送信できる情報量が飛躍的に増えました。インターネットの発達にともない、光通信は急速に普及し、今や一般家庭でも使用されるようになっています。光ファイバーケーブルの普及がある程度進んでも、携帯電話の通信技術が3Gから4G、5Gとバージョンアップを続けているように、光通信方式の技術も日々進化を続けています。送受される情報量も、どんどん大きなものが求められるようになっています。

光の片側を除去して詰める?

光ファイバー通信では、1本の細いガラスの線の中に、周波数の違う光を何本も通しています。送りたい信号を特定の周波数の光に乗せると、信号の成分がその光の上下の周波数にまとわりつきます。この状態を変調スペクトルと呼びます。スペクトルはその光の上下の周波数に対称的に現れますが、信号を送るために必要なのは、本質的には片側だけです。そこで、片方のスペクトルを除去すれば、全体の変調スペクトル幅を半分に減らせます。同じ周波数幅の中にはたくさんの異なる周波数の光を詰め込むことができ、その分だけ送る情報量を増やすことができるのです。「SSB変調」と呼ばれるこの方式を光通信の領域で実現するには、データの容量や複雑さが桁違いで困難がともないますが、将来の通信方式のための大事なチャレンジです。

光通信が見せる未来の社会

このような新技術の開発を通して、光通信は進化しています。より多くの情報をより遠くまで送れるということは、さまざまな可能性を広げてくれます。例えば、医療分野における遠隔医療の可能性です。より精密なデータを送受することで、正確な診断やケアを安全に行えるようになるでしょう。また、通話も単なる動画でなく、すぐ隣にいるような臨場感のあるコミュニケーションが可能になるでしょう。クラウドを使ったスマートな社会の基盤として、光通信の進化は欠かせないのです。

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山形大学 工学部 情報・エレクトロニクス学科 教授 高野 勝美 先生

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「工学部」にどんなイメージを持っていますか。工学部を卒業した技術者・エンジニアは、「困ったときになんとかしてくれる人」だと言えるでしょう。つまり、「困っている人にソリューションを与えてくれる人」になれるのが、工学部なのです。
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山形大学は、東日本有数の総合大学であり、4つのキャンパスはネットワークで融合されています。社会のリーダーにふさわしい基本能力と幅広い教養を身につけるため、教養教育に力を入れています。大学運営の基本方針として、一つは、何よりも学生を大切にして、学生が主役となる大学創りをするということ、そしてもう一つは、教育、特に教養教育を充実させるという2点を掲げています。