もしコンピュータが暴走したら、あなたは止められるか
新しい教科はなぜ必要?
学習指導要領の改訂により、プログラミングが小学校で導入され、中学校で強化され、2022年度からは高校でもプログラミングを含む「情報I」が必修化されました。「情報I」を学んだからといって、将来のすべての仕事にプログラミングが必要になるわけではありません。それなのに、なぜ私たちにそのような知識が必要なのでしょうか?
日常にも必要な「情報I」
たとえば、あなたが車を運転するためには、自動車学校に通って、交通法規や車の仕組み、実際の運転技術を学ばなければいけません。車の不具合に起因する事故を防ぐには、運行前の点検は重要です。そのためには車の中のどこに何があって、どうチェックするのかを知っておく必要があります。
そして、コンピュータやスマートフォンを使うことも同じだと考えられます。もしコンピュータが何らかの理由で暴走し始めたとしても、内部の仕組みを知っていれば止める方法を思いつくかもしれません。また、「情報I」の学びは、機械を賢く利用することにもつながります。コンピュータの性能と使う目的を正しく理解していれば、高い機種を買わなくても、自分の用途に見合った機種が選べます。例えるなら、日常の買い物に行くだけのために、フェラーリやロールスロイスなどの高級車を買わなくてもいいということです。
スムーズで安全な生活のために
それでは、プログラミングは日常のどんなところに必要なのでしょうか。たとえば、近い将来には、自動運転タクシーが登場すると予測されます。目的地を伝えれば連れて行ってくれるものですが、もし別の場所に同じ地名があった場合、うまく伝えられるでしょうか。プログラミングを学ぶことで、そうしたことを見越してタクシーに的確な指示を出すことができ、安全確保や目的達成に役立ちます。これからの社会において「情報I」を学ぶことは、スムーズで安全な生活を送ることにつながるのです。そのために、新しい科目としての「情報I」を教える人材育成のほか、教科書や教材などの整備が進められています。
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京都精華大学 メディア表現学部 メディア情報専攻 教授 鹿野 利春 先生
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