バーチャルモデルに命を吹き込む! 3Dモデリングの新たな可能性
身近になった3Dモデリング
バーチャルYouTuberやゲーム、アニメーションやデジタルアートなど、日常で3Dモデルを目にする機会が増えています。人間の動きを3次元データとして取り込むには、関節などに「マーカー」と呼ばれる印を着けて、その位置と動きを測定する「モーションキャプチャ」という方式が一般的です。これには専用の機材と設備が必要ですが、近年では映像の中からAIが自動的に人の関節の位置を推定してモデリングするタイプのモーションキャプチャツールも登場しました。これにより、専用の機材や広い空間がなくても人の動きの3Dデータの制作が可能になり、以前よりも3Dモデルを使ったコンテンツ制作は身近になりました。
モーションキャプチャの最先端
AIを導入したモーションキャプチャは、現状ではまだ動きの再現性に不自然な部分が生じます。AIが推定する関節の位置の精度を上げるために、複数台のカメラで別角度から撮影する手法も研究されています。また、そのほかにも、動き以外の要素を測定して付加し、リアルさや表現を追求する研究も進んでいます。例えば、VR空間に筆で絵を描くパフォーマンスでは、モーションキャプチャのほかに筋電位センサが使用されました。これは、筆の位置情報に加えて、握る強さや振り下ろす際にかかる力を関知し、線の勢いや太さとして反映させる仕組みです。
3Dモデルに命を吹き込む
現在、モーションキャプチャによる動きのデータや筋電位センサでの力のデータに加えて、脳波や体温、脈拍といったバイタルデータを取り込む研究も進められています。既存の3Dデータにこれらのデータを加えることで、3Dモデルでのより自然な表情や微細な感情表現の可能性が広がります。また、VR空間での直感的・肉体的な感覚を伴ったインタラクティブな操作にも応用されていくでしょう。モーションキャプチャ技術は、今後もさまざまな方向への発展が期待できる分野なのです。
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