アナログな自然現象をデジタルで表せる? 超離散方程式の可能性
自然現象を数式で表す
自然現象を理解しようとする際、数式を使って記述することができると多くのメリットがあります。例えば波の波形の変化を調べるとき、微分方程式が利用されます。数式で表すことにより抽象的にはなりますが、その代わり実際に実験しようとすると長い時間や莫大なお金がかかってしまうようなことも、紙とペン(あるいはパソコン)を使って調べることができます。また、その現象の原因となる本質的な構造が何なのかを突き止めることができたりします。ソリトンと呼ばれるある特別な波の場合には、研究によってその特徴を抜き出すことで、数列などに代表される漸化式(離散方程式)を使っても表現できることが明らかになりました。現在では、離散方程式からさらに派生した超離散方程式でも同じように波の形状などを表現できています。
アナログをデジタルに変換する数式
超離散方程式は、四則演算を別の演算に置き換えた方程式です。中学や高校で習う計算規則が当てはまらないこともあるため、解き方や方程式の構造が研究されています。超離散化方程式の特徴のひとつが、アナログな数値をデジタルな数値に変換できることです。例えば波の形状変化を表すグラフは一般的に、スムーズな曲線を描いています。これはアナログ時計のように連続的な量を表す実数値を使った表現です。一方で超離散方程式のグラフは台形のような角張った形になります。実数値だったものはすべて整数に置き換えられているため、連続するものを段階的に区切ってある時点での状態を視覚化することが可能です。
超離散方程式の可能性を追究
超離散方程式は波の形状変化だけでなく、バスや電車の時刻表のもとになるダイヤグラムや、車の渋滞を表すモデルとも関連しています。しかし超離散方程式の解き方や四則演算の変換方法などにはまだ謎が多く残されており、研究が進められている最中です。
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先生情報 / 大学情報
東海大学 理学部 数学科 准教授 長井 秀友 先生
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