さまざまな現象は数式にすれば理解できる! ~応用数学の広がり~
パターン形成とは何か
自然界や私たちの暮らす社会に何らかの模様や形ができることを、「パターン形成」といいます。シマウマの縞模様や、アサリの貝殻の模様などがその一例です。さらに、草原が徐々に砂漠になっていく自然現象や、道路が混雑して渋滞が起こる社会現象もパターン形成の一つと見ることができます。そのようなパターン形成がどうやってできるのか、数式で表すことによって理解するという方法があります。
モデル化によってわかること
数式によって表すことを、「モデル化」といいます。モデル化によってわかるようになるのは、パターン形成がどのようにして起きるかだけではありません。パターン形成を起こさないようにするにはどうすればいいかも、わかるようになるのです。砂漠化の例で言えば、モデル化によってどのようにして緑一面の草原が縞模様、まだら模様になっていくのかがわかります。そして砂漠を草原に戻すにはどのくらいの雨が必要かを計算して導き出すこともできるのです。ちなみに、砂漠を元の草原に戻すには、砂漠化が起きる以前よりも多くの雨量が必要です。
渋滞が起こるメカニズムも、数式で表すことができます。渋滞は車を運転している一人ひとりが起こそうと思って起こる現象ではなく、一種の自然な現象なので、モデル化することができるのです。そのようにモデル化することで、どうすれば渋滞にならないかを考えることができます。そのモデルの正しさは、コンピュータでシミュレーションして確かめられます。
メカニズムを理解する大切さ
現象を理解するためには、現象そのものを観察して分析するという方法もありますが、現象にどのようなメカニズムが働いているかを分析するという方法もあります。世の中には、「やってみたらそうなったけれど、なぜそうなったのかよくわかっていないこと」が実はたくさんあるのです。数学的にメカニズムを分析することは、現象を本質的に理解し、現代の諸問題を解決するための大きな役割を果たすと言えます。
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武蔵野大学 工学部 数理工学科 教授 上山 大信 先生
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