講義No.09001 数学

さまざまな現象は数式にすれば理解できる! ~応用数学の広がり~

さまざまな現象は数式にすれば理解できる! ~応用数学の広がり~

パターン形成とは何か

自然界や私たちの暮らす社会に何らかの模様や形ができることを、「パターン形成」といいます。シマウマの縞模様や、アサリの貝殻の模様などがその一例です。さらに、草原が徐々に砂漠になっていく自然現象や、道路が混雑して渋滞が起こる社会現象もパターン形成の一つと見ることができます。そのようなパターン形成がどうやってできるのか、数式で表すことによって理解するという方法があります。

モデル化によってわかること

数式によって表すことを、「モデル化」といいます。モデル化によってわかるようになるのは、パターン形成がどのようにして起きるかだけではありません。パターン形成を起こさないようにするにはどうすればいいかも、わかるようになるのです。砂漠化の例で言えば、モデル化によってどのようにして緑一面の草原が縞模様、まだら模様になっていくのかがわかります。そして砂漠を草原に戻すにはどのくらいの雨が必要かを計算して導き出すこともできるのです。ちなみに、砂漠を元の草原に戻すには、砂漠化が起きる以前よりも多くの雨量が必要です。
渋滞が起こるメカニズムも、数式で表すことができます。渋滞は車を運転している一人ひとりが起こそうと思って起こる現象ではなく、一種の自然な現象なので、モデル化することができるのです。そのようにモデル化することで、どうすれば渋滞にならないかを考えることができます。そのモデルの正しさは、コンピュータでシミュレーションして確かめられます。

メカニズムを理解する大切さ

現象を理解するためには、現象そのものを観察して分析するという方法もありますが、現象にどのようなメカニズムが働いているかを分析するという方法もあります。世の中には、「やってみたらそうなったけれど、なぜそうなったのかよくわかっていないこと」が実はたくさんあるのです。数学的にメカニズムを分析することは、現象を本質的に理解し、現代の諸問題を解決するための大きな役割を果たすと言えます。

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武蔵野大学 工学部 数理工学科 教授 上山 大信 先生

武蔵野大学 工学部 数理工学科 教授 上山 大信 先生

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数理工学、応用数学

先生が目指すSDGs

メッセージ

進路に悩む人は多いと思いますが、目標は大学に入ってから決めてもいいと思います。大学に入ってから見えてくるものもあります。今は、何が好きかを大事にしてください。
そして、ものごとを不思議に思う気持ちや、わからないという気持ちを大事にしてください。わからないと思うことは、決して悪いことではありません。世の中にはまだ解明されていない現象がたくさんありますし、ものごとに疑問を持つことが新しいものを作っていく鍵になっていくのです。

先生への質問

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2024年に100周年を迎えた武蔵野大学は、同年4月、ウェルビーイング学部ウェルビーイング学科を新設しました。2023年4月には、社会と環境をデザインし実現する、文理融合型の「サステナビリティ学科」を開設し、近年では、起業家精神を育成する「アントレプレナーシップ学科」や私立大学初の「データサイエンス学科」を新設。常に時代の変化を先取りし、13学部21学科の文・理・医療・情報系の総合大学へと発展・拡大を続けています。