講義No.05190 数学

行列の混雑を数学で解消する「オペレーションズ・リサーチ」とは?

行列の混雑を数学で解消する「オペレーションズ・リサーチ」とは?

さまざまな事象を数学の理論でモデル化

私たちの身の回りには、自然や社会に関わるさまざまな現象や問題があります。それらの中には、数学の理論を応用することで表現できるものがあるのです。こうした数学によるモデル化を通じて、物事の効率や安全性について考察していくことを、「オペレーションズ・リサーチ」と呼んでいます。

待ち行列の混雑を解消するには?

例えば、お店で買い物をするとき、お客さんの多い時間帯には、レジが混雑して長い行列ができることがあります。レジの台数を増やすことが可能であれば混雑を防ぐことができますが、設置場所やレジの購入費用、店員の人件費などを考えると、店側としてはそうむやみに台数を増やせません。こうした場合に、「オペレーションズ・リサーチ」が役に立ちます。お客さんがレジに来る割合や一人あたりの精算に要する時間など、あらゆる要素を考えた上で、待ち行列が「できる」のか「できない」のか、「できる」ならどのくらいの長さになるのかを、数学的に表現するのです。レジの台数や待ち行列の作り方など、さまざまなパターンのメリットとデメリットを数学で厳密に検証することで、よりよいお店を作ることができます。

何が大切なのかを見極める視点の大切さ

「オペレーションズ・リサーチ」をはじめとする応用数学や応用確率論の研究は、数学の理論を使って社会現象を表現するという点で、一般的な数学とは異なります。現実社会との接点の中で、いくつもの手法を柔軟に駆使しながら現象をモデル化していくのが、この研究の醍醐味です。そしてそのプロセスでは、数多くの情報や条件の中から、何が大切なのかを見極めて選び出す視点の確かさも求められます。
最近では、FacebookやTwitterなどのソーシャルネットワークで情報が共有されて拡散していく現象を、数学によってモデル化しようとする試みも行われています。私たちの社会には、数学で説明できる現象が多くあるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

神奈川大学 理学部 理学科 准教授 加藤 憲一 先生

神奈川大学 理学部 理学科 准教授 加藤 憲一 先生

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応用数学

メッセージ

確率を応用した研究は、身近な自然現象や社会問題をモデル化したものです。あなたの生活の中には、さまざまな「不思議」があります。まず、それらを観察して、「自分はこういったことに興味がある」という具体像をつかむように努力してみてください。それは、現象を数学的にモデルとして表現して解析する、大学での研究につながっていきます。あなたの身近な生活の中にあるさまざまな「不思議」について日々気を配り考えていれば、必ず大学での勉強にも生きてくるでしょう。

神奈川大学に関心を持ったあなたは

1928年創立以来、真の実学をめざし、自ら成長できる人材を育成してきました。近年では2021年、グローバル系3学部が集うみなとみらいキャンパスが誕生。2022年、「建築学部」を開設、2023年には理工学部を改組し「化学生命、情報学部」を開設。文理11学部すべてを横浜エリアに集結させ、世界レベルをめざす総合大学として、新たな一歩を踏み出しました。
また返還不要な奨学金制度も充実。12月下旬に全国22会場で実施の給費生試験で合格、入学すると、4年間で最大880万円の奨学金が給付されます。