行列の混雑を数学で解消する「オペレーションズ・リサーチ」とは?
さまざまな事象を数学の理論でモデル化
私たちの身の回りには、自然や社会に関わるさまざまな現象や問題があります。それらの中には、数学の理論を応用することで表現できるものがあるのです。こうした数学によるモデル化を通じて、物事の効率や安全性について考察していくことを、「オペレーションズ・リサーチ」と呼んでいます。
待ち行列の混雑を解消するには?
例えば、お店で買い物をするとき、お客さんの多い時間帯には、レジが混雑して長い行列ができることがあります。レジの台数を増やすことが可能であれば混雑を防ぐことができますが、設置場所やレジの購入費用、店員の人件費などを考えると、店側としてはそうむやみに台数を増やせません。こうした場合に、「オペレーションズ・リサーチ」が役に立ちます。お客さんがレジに来る割合や一人あたりの精算に要する時間など、あらゆる要素を考えた上で、待ち行列が「できる」のか「できない」のか、「できる」ならどのくらいの長さになるのかを、数学的に表現するのです。レジの台数や待ち行列の作り方など、さまざまなパターンのメリットとデメリットを数学で厳密に検証することで、よりよいお店を作ることができます。
何が大切なのかを見極める視点の大切さ
「オペレーションズ・リサーチ」をはじめとする応用数学や応用確率論の研究は、数学の理論を使って社会現象を表現するという点で、一般的な数学とは異なります。現実社会との接点の中で、いくつもの手法を柔軟に駆使しながら現象をモデル化していくのが、この研究の醍醐味です。そしてそのプロセスでは、数多くの情報や条件の中から、何が大切なのかを見極めて選び出す視点の確かさも求められます。
最近では、FacebookやTwitterなどのソーシャルネットワークで情報が共有されて拡散していく現象を、数学によってモデル化しようとする試みも行われています。私たちの社会には、数学で説明できる現象が多くあるのです。
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