「生涯スポーツとしてのアウトドアスポーツ」の魅力と可能性
アウトドアスポーツは人を幸せにする
スポーツのプレイヤーは、プロや実業団選手といった競技アスリートだけではありません。仕事や勉強をしながら、それぞれのレベルや生活環境に合わせてスポーツを続ける人の方が圧倒的に多く、60歳、70歳と年齢を重ねても日常的にスポーツに取り組む「生涯スポーツ」人口が確実に増加しています。行動科学・スポーツ心理学のある研究では、こうした生涯スポーツとして長期にアウトドアスポーツに取り組む人たちは、「ウェルビーイング(心と体、社会的にも充足した幸福な状態)の度合いが非常に高いことがわかっています。
自ら工夫し、環境を変える
アウトドアスポーツにおいては、スキーやカヌー、サーフィンといった「スキル性の高い」種目がより継続して行えます。年齢によって筋力や持久力が伸びなくても、やればやるほどスキルが高まり、それを自分でも実感できることがモチベーションの維持につながるからです。また、アウトドアスポーツに取り組む人たち自身も、目標や目線を変えながら、自分が飽きないような工夫をしていることがわかっています。さらに、例えばサーフィンやカヌーに取り組む人が海のそばに引っ越す、より時間の融通が利きやすい仕事に転職する、といった傾向も見られます。こうした現象は「ワーク・ライフ・インテグレーション(仕事と生活の統合)」と呼ばれます。
生涯スポーツの意義
SNSが普及した現在では、同じスポーツを楽しむ仲間とのつながりが築きやすくなっています。仕事や家庭以外に所属できるコミュニティがあることも、生涯スポーツを楽しむ人たちのウェルビーイングをより高めています。近年、医療費を削減するために、運動を生活習慣に取り入れることが推奨されていますが、生涯スポーツに取り組む人は、医師の指導がなくても積極的にスポーツを楽しみ、心身の健康を保っています。こうした生涯スポーツの具体的な実態や効果を明らかにし、広く発信していくことで、誰もが健康で豊かに暮らせる幸福な社会の実現への貢献につながることが期待されます。
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東海大学 体育学部 体育学科 教授 松本 秀夫 先生
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