アウトドアスポーツを通して、社会問題を解決する!
登山による遭難事故
大型連休になると耳にするのが、登山による遭難事故のニュースです。遭難事故は年々増え続け、現在は年間約3,000件を超える事故が報告されています。
事故増加の原因として、登山者の高齢化や体力不足があげられてきましたが、別の原因も考えられます。例えば、「高齢者は退職して自由な時間も多いので、年間の登山回数が多く、結果として遭難する事が多いのでは?」といった考え方もできます。
そこで、年代別に、登山10万回当たりの遭難事故発生件数(発生確率)が計算されました。すると、実際は60歳以上の高齢者よりも、40歳代の遭難事故発生率の方が高いことがわかりました。これにより、高齢者に対する偏見が解けるかもしれません。
リスクを回避するために必要なこと
また、登山者1,000人を対象に持ち物と、リスクに対する意識を測ることを目的とした調査が行われました。この調査では、本来の目的以外に興味深い現象が確認されました。
調査期間中に、岐阜県の御嶽山で噴火事故が発生し、調査実施場所の周辺でも噴火警戒レベルが引き上げられました。その結果、それまでには見る事がなかったヘルメット持参の登山者が少なからず確認できたのです。実際の事故によって登山者がリスクを身近にとらえ、リスク回避の行動につながったのだと考えられます。
社会問題を解決するために
最近は防災意識が高まっていることから、各地で「防災キャンプ」が開催されています。野外での調理や、テントを張って寝るといったキャンプのスキルを身につけることで、災害時に役立てることが目的です。実施後、食糧を備蓄したり、災害時でも使える電化製品を購入したりと、行動に結びついていることが参加者へのアンケートでわかっています。
このように、スポーツやアウトドアを通した社会問題の解決を考えることもスポーツマネジメントの研究課題です。身近な社会問題ほど解決困難なことはたくさんありますが、スポーツマネジメントは研究と実践を通じて社会に役立つことをめざしています。
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先生情報 / 大学情報
鹿屋体育大学 体育学部 スポーツ文化・応用社会科学系 講師 坂口 俊哉 先生
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