人はなぜフェイクニュースにだまされるのか?
情報システムが引き起こす問題
私たちの社会において、情報システムが重要な役割を果たすようになりました。生活を便利にする一方で、新たな問題も引き起こしています。そのため、問題の発生を防いだり、巻き込まれないようにしたりする方法の研究が急がれています。
情報システムが引き起こした問題の一つがフェイクニュースです。フェイクニュースにだまされる原因として、「情報オーバーロード」が考えられます。情報オーバーロードとは、情報が多過ぎて処理し切れずに、判断の質が落ちている状態を表す概念です。
情報オーバーロードとリテラシー
フェイクニュースによるだまされやすさと情報オーバーロードとの関係を調べるために、大学生74名を対象としたアンケート調査が行われました。日頃の情報接触状況と、情報オーバーロードを感じているかなどを尋ねた上で、数種類の既に真偽が判明しているフェイクニュースや根拠があいまいな情報を提示して真偽を答えてもらいました。
アンケート調査の結果、情報オーバーロードを感じている度合いとだまされやすさには相関がみられました。一方で意外にも、インターネットの使用時間と情報オーバーロードを感じている度合いには関連性がなく、デバイス保有台数が多い人ほど情報オーバーロードを感じていなかったのです。この結果には、後者の情報リテラシーの高さが関係していると考えられます。
より良い情報社会をみんなでつくる
私たちは、情報社会で生きていくために役立つ知識や態度を身につけることが欠かせません。情報社会におけるさまざまな問題に対する人々の意識を明らかにする研究は、その基礎となるものです。今後の社会をよりよいものとしていくためには、情報社会のあり方について専門家以外の人々も意見を出して積極的に関わることが望まれます。例えば、現在進められているAI技術の規制について、公の議論に参加するなどです。そこで、規制に関する関心の度合いの高さが何に関係しているかなどを測定する調査も進められています。
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