映像による運動解析で、スポーツが苦手な子どもがいなくなる?
身近になった運動解析
人間には生まれつき、運動するのが得意な人もいれば、苦手としている人もいます。しかしその差は、決して埋められないものではありません。
人間の運動能力は、その人にある動作をしてもらって、その動作を記録した映像を分析すると、たちどころに把握できます。映像による運動解析は、以前は非常に高価な機材やソフトが必要でしたが、最近は、ホームセンターで入手可能な材料と無料のアプリを活用することでも可能になりました。
映像による運動解析と適切なアドバイス
人間のアジリティ(敏しょう性)を解析する場合、まっすぐ立った直立の状態から、ブザーが鳴ると同時にダッシュして走り抜ける動作をしてもらって、その動作を映像に記録します。その映像を専用のソフトで解析していくと、その人の一連の身体の動かし方が理にかなっているかどうか、重心がスムーズに移動していない部分はどこか、動きがぎこちない場合は何が原因か、明確に把握できるようになります。
幼稚園や小学校低学年くらいの子どもたちに対し、映像による運動解析をして、身体の動かし方について適切なアドバイスをしていくと、大半の子どもがすぐに身体の動かし方を修正して、より素早く正確に動けるようになります。アジリティは、さまざまなスポーツで有効な汎用性の高い能力なので、子どもの頃からこのようなアドバイスを継続していけば、スポーツが苦手な子どもを減らすこともできるはずです。それは子どもたちの健康の促進だけでなく、スポーツに対して余計な劣等感を持たずにすむようになるというメリットも考えられます。
身体の不調の把握やケガの予防も可能に
映像による運動解析の研究を進めていくと、運動能力の改善だけでなく、例えばその人の身体に不調な部分がある場合は、その原因を数理的に把握して、けがの予防に活用するといった用途も期待できます。科学技術を積極的に取り入れることで、人間とスポーツとの関係は、よりよいものになっていくはずです。
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福岡教育大学 教育学部 技術教育研究ユニット 教授 梅野 貴俊 先生
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