ネイティブの英語と違ってもいい! リングワ・フランカとは?
国際的なコミュニケーションのための英語
さまざまな母国語を持つ人が集まる場所では、英語によるコミュニケーションが頻繁に見られます。母国語が異なる人同士が共通語として使う言語を「Lingua Franca(リングワ・フランカ)」と言います。特にEnglish as a Lingua Franca(リングワ・フランカとしての英語、略称ELF)は英語教育やビジネスの専門家からも注目されています。
ELFは英語を母国語としない「ノンネイティブ話者」が使うため、ネイティブスピーカーの発音や語彙とは違います。しかし意味は誰でも理解できるため、コミュニケーションに支障はありません。例えば「私たちは車で大阪に行った」と言うとき、ネイティブ話者は「We drove to Osaka.」と表現しますが、ELFで「We went to Osaka by car.」と言っても意味は通じます。
日本の教育とELF
アジア地域のビジネスでは、ノンネイティブ話者と英語でコミュニケーションをとる機会が増加しています。そのため日本の英語教育にもELFを取り入れるべきだという議論が始まりました。ELFの研究者はコミュニケーションが成立することを重視しており、意味が通じればどの国の英語も対等であると考えています。しかし日本人はネイティブ話者の発音や文法こそが英語だと考える傾向にあるため、日本でのELFの教育はあまり進んでいません。
ノンネイティブ同士の英語は怖くない
ELFは、国際的なコミュニケーションにおける「恐れ」を軽減する効果も期待できます。例えば、シンガポールに留学した日本人学生の事例では、最初は発言を控えていた学生も、アジア圏から来た留学生の英語を聞いているうちに、自ら英語で話し始めました。ネイティブ発音で話す学生がいなかったため、「完璧でなくてもいいのだ」と英語への恐れが減ったのです。ELFの普及は日本の英語教育にも影響を及ぼすはずで、研究すべきテーマは数多く存在します。
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先生情報 / 大学情報
新潟県立大学 国際経済学部 国際経済学科 教授 ウン・チン・リオン・パトリック 先生
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