地域ごとに異なる「食へのアクセス」と、健康への影響
食へのアクセス
実際に健康的な食事をとるまでには、いくつものステップがあります。例えば食材をスーパーマーケットなどで購入、料理をする、食べる、というような流れがあります。健康意識のある方、あるいは男性より女性は、遠くても食材を購入するために出かけたりもします。男性は近くに食料品店があれば行くという方が多い傾向があります。所得は購入する食品に影響しますし、教育歴が高い人は健康意識が高くなる傾向もあります。料理ができる人、また誰かと一緒に食べる環境だと食べる食品の数が増えます。このように個人、周囲、環境、いろいろな要素が食へのアクセスに関わってきます。
地域差と経済格差
私たちの健康において地域差、経済格差があることが分かってきました。糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、高齢者のフレイルといわれる筋肉の低下や閉じこもりがちになる状況も地域差があるといわれています。その背景には健康的な食生活がおくれていない地域がある可能性があります。地域ごとに問題や状況が異なるため、地域に合わせた対策が必要です。経済格差のような問題では、地域内で助け合える人間関係の仕組みを作り出すことなどが解決策として考えられます。日本にある、ご近所さんへの食べ物のおすそ分けの文化が健康につながるかもしれません。
健康な食事のための仕組みづくり
インドネシアには、地域の高齢者の集まりで、焼き鳥のような軽食を食べ、歌を歌い、最後に血圧を測って会が終わるというものがあります。伝統的な料理の作り方を、高齢者が若い世代に伝えることもあります。たんぱく質をとり、人と交流することはフレイル予防になります。伝統食を次世代に伝えるという社会的な役割は高齢者を元気にしますし、さらに次世代の健康な食にもつながります。
SDGsの目標2「飢餓をなくす」のターゲットに『年中安全かつ栄養のある食料 を十分得られるようにする。』があります。日本、インドネシア、ほかのアジアの国でも誰もが健康的な食をとることができる地域環境づくりが求められています。
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新潟県立大学 人間生活学部 健康栄養学科 教授 太田 亜里美 先生
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