講義No.11033 食物・栄養学

地域ごとに異なる「食へのアクセス」と、健康への影響

地域ごとに異なる「食へのアクセス」と、健康への影響

食へのアクセス

実際に健康的な食事をとるまでには、いくつものステップがあります。例えば食材をスーパーマーケットなどで購入、料理をする、食べる、というような流れがあります。健康意識のある方、あるいは男性より女性は、遠くても食材を購入するために出かけたりもします。男性は近くに食料品店があれば行くという方が多い傾向があります。所得は購入する食品に影響しますし、教育歴が高い人は健康意識が高くなる傾向もあります。料理ができる人、また誰かと一緒に食べる環境だと食べる食品の数が増えます。このように個人、周囲、環境、いろいろな要素が食へのアクセスに関わってきます。

地域差と経済格差

私たちの健康において地域差、経済格差があることが分かってきました。糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、高齢者のフレイルといわれる筋肉の低下や閉じこもりがちになる状況も地域差があるといわれています。その背景には健康的な食生活がおくれていない地域がある可能性があります。地域ごとに問題や状況が異なるため、地域に合わせた対策が必要です。経済格差のような問題では、地域内で助け合える人間関係の仕組みを作り出すことなどが解決策として考えられます。日本にある、ご近所さんへの食べ物のおすそ分けの文化が健康につながるかもしれません。

健康な食事のための仕組みづくり

インドネシアには、地域の高齢者の集まりで、焼き鳥のような軽食を食べ、歌を歌い、最後に血圧を測って会が終わるというものがあります。伝統的な料理の作り方を、高齢者が若い世代に伝えることもあります。たんぱく質をとり、人と交流することはフレイル予防になります。伝統食を次世代に伝えるという社会的な役割は高齢者を元気にしますし、さらに次世代の健康な食にもつながります。
SDGsの目標2「飢餓をなくす」のターゲットに『年中安全かつ栄養のある食料 を十分得られるようにする。』があります。日本、インドネシア、ほかのアジアの国でも誰もが健康的な食をとることができる地域環境づくりが求められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

新潟県立大学 人間生活学部 健康栄養学科 教授 太田 亜里美 先生

新潟県立大学 人間生活学部 健康栄養学科 教授 太田 亜里美 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

健康栄養学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私たちの体は毎日の食事から作られています。健康栄養学科では、病院などでの栄養指導の研究や、食品をおいしくするための研究など、食と健康に関するさまざまな勉強ができます。さらに新潟県立大学は例年ハワイ研修やインドネシア研修を行っており、世界から日本の食を見つめ直すこともできます。ハワイのパンケーキやインドネシアのナシゴレンなど、海外には独自の食文化が根付いています。あなたもチャンスが巡って来たときに、ぜひ海外に行って多くの体験をしてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

新潟県立大学に関心を持ったあなたは

新潟県立大学は、知識・技能・態度等を総合的に活かし、知的な行動力でグローバルそしてローカルなコミュニティに貢献できる人材の育成を目的とします。
グローバルそしてローカルなコミュニティの今日的な課題に取り組み、学際的に研究・教育をする観点に立ち、国際化に対する基礎体力(語学力)を鍛えます。また現代社会の変化に即応できる教養教育を実践し、学生の自己実現を支援する中で専門的知識・技能を有し地域社会に活躍できる人材を育成します。ひとづくりを通じて地域の国際化・振興に貢献することを目標とします。