岩石を調べると、地球の歴史がわかる
かつて存在したゴンドワナ超大陸
今から約6億年前、地球上の大陸が一か所に集合したゴンドワナ超大陸という巨大な大陸がありました。それは現在の南極大陸を中心に存在していましたが、やがて現在の南米大陸、アフリカ大陸、オーストラリア大陸などに分裂しました。地球的規模の大事件といってもいいほどの、この超大陸の誕生と分裂の痕跡を、数多く残すのが南極大陸です。南極では世界各国の調査隊が活動しており、日本の観測隊はセール・ロンダーネ山地をふくむ複数の地域をターゲットに調査中です。雪や氷の間から露出した岩石を採取し分析する中で、ゴンドワナ超大陸誕生の歴史が明らかになりつつあります。
岩石を見れば、地球のたどってきた道のりがわかる
南極大陸には、多くの変成岩があります。変成岩とは、地下深い場所で圧力や温度が加わることで化学反応が生じた岩石です。岩石は35ミクロンまで薄くすると顕微鏡で観察できるようになります。注目は、岩石に含まれる鉱物です。鉱物はそれぞれ、安定的に存在する条件が決まっています。例えばH2Oは、0℃以下なら氷に、100℃までなら水に、100℃以上なら水蒸気になるというようにそれぞれの状態が安定に存在する条件が決まっていますが、それは鉱物も同様です。そのため、どんな鉱物が含まれているかを調べることによって、その岩石がかつて地球内部のどのくらいの場所に存在し、その後どのように地表に現れたかを明らかにすることができます。エリアを広げて調査すれば、その地域の成り立ちの歴史を編むことができ、さらに大陸の成長過程などの地殻変動の様子を解明できることになります。
地質学の可能性とは
地球は誕生してから46億年間絶えず変動を繰り返してきました。その変動は岩石に記録されています。その記録を丁寧に読み解くことで、地球がどのように変化してきたかを明らかにすることができます。未来は現在に、現在は過去に起きたことに必ず影響されます。つまり地球の過去を正しく理解することは未来を知ることにつながるのです。
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九州大学 共創学部 共創学科 助教 足立 達朗 先生
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