ファッションデザインは、服の見た目だけではない?

ファッションデザインは、服の見た目だけではない?

同じ見た目でも値段が違うのはなぜ?

色や構造、見た目などがほとんど同じシャツが2枚あるとします。1枚は2千円ですが、もう1枚は1万円です。なぜ価格が異なるのでしょうか。この疑問に答えるためには、「ファッションデザイン」の定義を考える必要があります。

ファッションデザインの定義

ファッションは人によって定義があいまいです。シンプルに服やコーディネートなどを想像することもあれば、広い意味では言語や習慣のように身につけた「要素」だと考えることもできます。社会学や美学を踏まえた研究では、ファッションは狭い意味では「服・服装・社会現象」の3つに分類されます。「服」は誰かが作り出したモノで、「服装」は、ユーザーが自由に組み合わせる行為の結果だといえます。そして同じ服装をする人が増えていくと、流行という「社会現象」になるのです。また、デザインは、「計画」や「設計」も指します。旅行の計画を立てる、貯金をするなど、目的を設定してプロセスを整えることはすべてデザインです。
つまりファッションデザインには服の見た目だけでなく、服の製造方法や流通、組み合わせ、流行の生み出し方なども含まれます。たとえ同じ見た目のシャツがあったとしても、それぞれに内包される背景が異なるため値段の違いも生じるのです。

SDGsとファッションデザイン

SDGsに貢献できるファッションデザインも行われています。例えば製造中に出るはぎれを極力減らす、あるいは古着や廃材を再利用して商品化するなど、環境への負荷を軽減する「ゼロウェイストファッション」と呼ばれる取り組みがあります。また、低価格を実現するために途上国の労働者を低賃金で雇っているケースでは、服の製造過程を見直す動きも出てきました。しかし労働環境改善のために製品の価格を上げると、消費者に受け入れてもらえない可能性があります。「これが適正価格だ」と消費者に納得してもらうためにも、生産プロセスの透明性を高めることが求められています。

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京都精華大学 デザイン学部 プロダクトデザイン学科 ファッションコース 准教授 蘆田 裕史 先生

京都精華大学 デザイン学部 プロダクトデザイン学科 ファッションコース 准教授 蘆田 裕史 先生

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ファッション学

先生が目指すSDGs

メッセージ

人の性格は外見だけではわかりませんが、その人の服装には好みや考えがあらわれています。ファッションは個性の表現でもある一方で、「スカートは女性がはくもの」「男性はズボンをはくべき」のように記号的にとらえられたり、根拠のないマナーが押しつけられたりもします。誰もがファッションを楽しめるようにするために、あなたなりにファッションを見つめ直してみましょう。
また、ファッション産業には服の廃棄や環境への負荷など、解決すべき課題もあります。誰もが関わる分野なので、学問として興味を持ってもらえるとうれしいです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

京都精華大学に関心を持ったあなたは

京都精華大学は、アート、デザイン、マンガ、音楽、ファッション、文学、歴史などが学べる「芸術と文化」の総合大学です。さまざまな分野を学ぶ学生、海外からの留学生が集まる多様性溢れるキャンパスです。本学では、あなたの好きなことや得意なことをきかっけに、個性を大切にしながら、それぞれの「専門性」を高める教育をおこなっています。そして、学生同士、学生と企業、学生と社会といった組み合わせで、「共に学ぶ」プログラムにも取り組んでいます。あなたの好きや得意をいかして、一緒に新しい未来を創りませんか?