すごいぞ! マンガの影響力
マンガに包囲される私たち
現代日本では、マンガは水や空気のように、あるのが当たり前の時代になりました。子どもの頃から、このような環境で成長した私たちは、知らず知らずのうちにマンガの持つ世界観(マンガ的世界)を共通イメージとして認識しています。例えば、『ドラえもん』を知らずに育つ子どもはいないでしょう。子どもたちは、冴えないけど心優しいのび太や、乱暴だけど友情に厚いジャイアン、お調子者のスネ夫、おしとやかな静香ちゃんといったキャラクター設定を通じて、友だちとの人間関係や役割分担を学ぶこともあります。例えば、乱暴者と聞いて思い浮かべるのは、どんな風貌の人物ですか? 私たちの思考は、想像以上にマンガから影響を受けているのです。
マンガを読む基礎知識
「マンガは簡単」と思われがちですが、マンガを読むときにはコマ割りや吹き出しの順序など、いろいろな決まりごとを理解していなければなりません。私たちは子どもの頃からマンガに触れることで、成長にしたがって言葉を覚えるように、マンガリテラシー(基礎知識とそれを応用する力)を無意識のうちに体得しています。
1960年代の日本では、大人も読めるストーリーマンガの名作がいくつも生まれました。やがて子ども向けと大人向けのマンガの市場が並び、社会全体にマンガ文化が根付いていきました。そして今や「MANGA」として輸出され、世界中に日本のマンガリテラシーを身につけたファンを増やしています。
マンガを研究する意義
マンガはテレビのアニメ番組と違い、自分の好きなときに読める個人的なメディアです。また一部の人を対象としたアートとも異なり、読者との最大公約数的な視覚イメージを表現する大衆文化でもあります。マンガを学問としてとらえるためには、身近なマンガの歴史や表現方法、作品に込められたテーマや社会性などを考察します。それを深く掘り下げると、文化の本質や人間の思想までもが見えてきます。マンガ研究とは、単にマンガのことだけでなく、私たち人間が何者なのかを問う学問でもあるのです。
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