エシカルファッションで途上国の労働環境や環境汚染を改善する!
ファストファッションの裏にある真実
あなたは何を基準に服を買いますか。形や色、素材、それとも価格でしょうか。今は、安価でしかも流行のデザインを取り入れた「ファストファッション」が、世の中にあふれています。なぜ、安くて見た目もよい服が作れるのでしょうか。実は、これらの服は、安い賃金で多くの労働者を集められる開発途上国で生産されています。そしてそこでは、さまざまな問題が起きています。
引き起こされた災害
2013年、バングラデシュの首都ダッカで、縫製(ほうせい)工場が入った8階建ての商業ビルが崩れる事故がありました。死者1100人以上、負傷者は2500人以上に上る大事故でした。朝出勤した従業員らがミシンなどを起動した際に、大型発電機の振動と合わさって建物を揺らしたことが原因だと言われています。違法に増築されたビルは、以前から危険性が指摘されていましたが、工場の管理者は、それでも従業員を働かせていました。
ファッションをめぐっては、このような労働問題だけでなく、生産過程での環境汚染の問題もあります。見た目も鮮やかな色合いを出すために、毒性のある染料が使われることもあるのです。
どうすれば世界が安全になるのか?
どうすれば、服の生産現場での労働環境を改善し、環境汚染を少なくできるでしょうか? それには、アパレル企業はもちろん、消費者も意識や行動を変えることが必要です。バングラデシュの事故後、世界中のアパレル企業が生産現場での安全性を確保する協定に署名し、縫製工場の安全検査が行われるようになりました。
また、近年、労働者の安全に配慮し、かつ生産工程の環境負荷を抑えるなどして作られた「エシカルファッション」が注目されています。ファストファッションに比べると価格は高いですが、生産する労働者には適正な賃金が支払われ、環境に優しい素材が使われています。簡単なことではありませんが、世界中の人々が協調して行動することが、安全につながるのです。
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先生情報 / 大学情報
関西大学 社会安全学部 安全マネジメント学科 准教授 桑名 謹三 先生
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