「総合的な学習(探究)の時間」では何を教えるべきか?
教員を育成する際の課題
日本の小学校、中学校、高等学校などで2000年から順次「総合的な学習(探究)の時間」が導入されています。これは、生徒が自発的に総合的な課題に取り組むことを促すために設置されたカリキュラムです。想定される内容が非常に多彩であることと、目標設定の考え方もさまざまであることから、教員を育成する際、この「総合的な学習(探求)の時間」の教育手法についてどのように指導していくべきなのかが、課題となっています。
フィールドワークと取材で向上する能力
「総合的な学習(探究)の時間」の教育手法を考える際、方法の一つとして、身近なところでのフィールドワークから面白そうなテーマを探し、それについて自身で調べ、成果をまとめて発表するというものがあります。例えば、地元で栽培されている珍しい品種の大根を見つけたら、そのルーツや栽培方法、味の特徴などについて、栽培農家や農協に取材したり、ほかの地方の大根と食べ比べをしたりして、成果を新聞のような形で発表するといった取り組みです。
この場合、テーマを見つけ出す観察力や発想力だけでなく、調べる力や、関係者に取材や協力を申し込む際のコミュニケーション力、得られた情報や素材を新聞の形にまとめる構成力、まとめた事柄を発信する力など、さまざまな能力が必要になります。そうしたフィールドワークや取材を学生時代に体験してもらうと、教員として「総合的な学習(探究)の時間」を担当する際に教えるべき要素を、実体験して学ぶことができます。
楽しくて深い学びのヒント
地元の自然環境や特産物、工芸品、伝統行事など、地域に存在するさまざまなテーマに注目し、「総合的な学習(探究)の時間」で深く掘り下げていくことは、その地域の活性化にもつながります。取材の過程で魅力的な大人に出会えたら、生徒たちの将来の夢にも良い影響を与えるかもしれません。「総合的な学習(探究)の時間」には、楽しくて深い学びのヒントが隠されているのです。
参考資料
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名古屋芸術大学 教育学部 子ども学科 教授 鎌倉 博 先生
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