大学での実践から見える、プロジェクト型学習で得られる学び
アントレプレナーシップをどう育む?
社会課題を見つけ、解決する力を持つ人財を育てようと、日本は文部科学省が主導して、アントレプレナーシップ教育に取り組んでいます。この教育が始まった2010年代から、大学では具体的な教育プログラムを構築しています。そのひとつとして、プロジェクト型学習(PBL)を入れて、チームや個人で、調査を通して、情報収集・分析、課題の設定、解決方法の企画・検証、最終報告へと段階的に進めます。PBLを活用した課題特定・解決科目から得られる学びの特徴を捉えるために、ある大学の歯学部で教育プログラムが実践・調査されました。
報告や発表の重要性
歯学部の学生たちが大きな学びを得た段階が、課題特定・解決プロセスの最後に行う「報告・発表」です。学生のレポートには「自分が考えつかないアイデアを聞けてよかった」など、他者の発表からも新たな気づきを得ていることがわかりました。他者の意見を尊重する態度はチーム医療で重要視されます。学生たちが将来関わる医療現場では、多様な専門職が協力して患者の治療をする必要があり、チーム内で他の分野の意見に耳を傾けたりする力が求められるからです。将来役立つ態度を経験するうえで、学生にとって効果的な学習方法だったといえます。
探究学習とPBL
PBLは高校の探究学習にも導入されており、学習者の成長が目に見えにくいという点が課題になっています。PBLを使った探究学習に取り組む生徒をどう評価すればいいかを考える教師も多くいます。そこで大学で実践するPBL導入の探究教育活動を参考に、高校向けの評価基準が作成され、一部の高校に紹介され始めました。評価の観点は大きく分けると、プロジェクトへの貢献度、口頭発表、成果報告書の3つです。例えば口頭発表では、プレゼンテーションの内容、発表の構成、資料のわかりやすさなどの具体的な評価項目と、各項目への配点が記されています。基準によって本当に評価がしやすくなったのか、各校に合わせたアレンジは可能なのかなど、検証が続いています。
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