小学校の授業でSDGsを教えるには? 持続可能な教育作り

小学校の授業でSDGsを教えるには? 持続可能な教育作り

SDGsを小学生にどう教える?

SDGsは学校教育でも重視されており、主に総合的な学習の時間で教えられています。ただし授業時間数の多くは国語や社会などの教科学習に割かれており、総合学習の時間だけでSDGsについて深く学んでいくことは難しいと考えられています。そこで教科学習にもSDGsを入れ込み、持続可能な社会を作るための力を子どもたちに身につけてもらおうと研究が始まりました。

社会科とSDGs

小学校社会科の授業では、教科書の内容とSDGsを絡めた教え方が徐々に実践されています。例えば森林に関する単元では、従来は森林の役割などを教えてきました。SDGsを実現するためには「森林は大事だ」という考えだけで終わらず、実際の行動に移す必要があります。そこで「日常生活の中で森林を大切にするためにできることはなんだろう」と考えていった事例がありました。すると子どもたちは「調べ学習」を行い、紙を無駄にしない、ごみの分別をする、割り箸ではなくマイ箸を使うなど、実践しやすい具体的な方法を伝え合います。さらに授業内で共有した行動を家庭で実践したり、保護者に教えたりする姿も見られました。SDGsを教科内で教えるときは、調べる、自分の意見を考える、考えをほかの人に伝える、行動する、という流れも重要だといえます。

教科とSDGsの共通点

現場の教員の多くは、学習指導要領の内容を教えるだけで手一杯になっており、「SDGsと絡めた授業をしよう」と奨励されても、実践に移すのは難しいのです。しかしSDGsの目標と、学習指導要領で定められている各教科の単元や目標には、すでに密接に関係する内容もあります。例えば、社会科の自動車産業に関する単元で教える、「工場は廃棄後の処理まで考えて素材を開発している」という内容は、SDGsの環境に関する目標と密接に関係しています。SDGsと各教科の内容が交差する部分を研究者が分析し、具体的な教育方法を提案すれば、現場で実践しやすくなると期待されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

学習院大学 文学部 教育学科 特任教授 栗原 清 先生

学習院大学 文学部 教育学科 特任教授 栗原 清 先生

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教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

社会科は暗記科目というイメージで、あなたも知識を詰め込むことに集中しているかもしれません。しかしそれだけでなく、興味のあるテーマを調べて自分なりに考える練習もしてほしいです。考えた内容は頭の中に留めておくだけでなく、人に伝えるとさらに深まります。調べて考えて伝える能力は、きっと将来社会に出たときも役立ってくれます。ただし勉強が楽しくなければ、調べる気にならないかもしれません。受験勉強は大変だと思いますが、あなたなりに楽しみながら学ぶ力を身につけてほしいです。

先生への質問

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